ただ、魅力の中でも最も大きいのはやはり“美”ですね。
最近でも田中みな実のTBS局アナ時代の後輩である宇垣美里が、テレビCMではありませんが、雑誌an・anの表紙や巻頭グラビアを飾りました。

anan 2019/05/08号 No.2149
その際に話題になったのが、パーソナルトレーニングで鍛え上げられた美脚と美尻でした。ポージングもモデル顔負けで、ときにスタイリッシュにときに清楚に、そしてときに小悪魔っぽく……というように世の女性たちが憧れるような表情をさまざまに見せてくれたのです。
その写真は男性向けというよりもまさに女性のためのものでした。
さらにここで写真集の位置づけについてお話しましょう。
ここ数年、写真集の売り上げランキングで上位を独占しているのは乃木坂46、欅坂46、そして日向坂46のいわゆる“坂道シリーズ”です(以下、坂道と略)。いわゆるアイドルグループですが、坂道は他の女性アイドルグループに比べ、女性ファンの比率が高いんですね。

「白石麻衣写真集 パスポート」写真 中村 和孝 講談社
もちろん男性ファンのほうが割合的には多いんですが、筆者も握手会やライブに行ってみると、そっくりな衣装を手作りしてライブに駆けつける熱心な女性ファンもいて、女性人気を実感します。
そして重要なのは、こうした女性ファンの目を意識して、彼女たちが少年漫画誌や青年漫画誌で表紙&グラビアをやる際には一切“水着のカットがない”んです。メンバーも番組で語っていますが、“過度な露出はNG”というのがお約束なんですね。

「ビッグコミックスピリッツ 2018年 4/30 号」小学館
こうなると男性ファンからするともの足りなく感じてしまうのですが、実はこれがまたポイントで、なんと“写真集で水着を解禁する”んです。これによって男性ファン的には「待ってました!」状態となり、写真集のセールスが伸びるワケです。
と、こう書くと水着=女性ファン的にはOKなのかな?と疑問に思う人もいるかもしれません。
確かに男性ファンに特化するなら、水着になった場合にいわゆる“グラビアアイドル”的なセクシーな路線を突き詰めるでしょうが、その場合、購買層は固定男性ファンのみになってしまいます。写真集の売り上げを今の時代で伸ばすなら、女性ファンに一人でも多く買ってもらうことが必要となってくるワケです。
そのためには内容もいわゆる“下品なエロ”や“ドギツイ感じのセクシー”では敬遠されてしまう。水着やランジェリーショットなどで肌の露出を増やしても女性目線で見たときに「ああ、キレイ、美しい」と思わせないとダメなんです。要は憧れられる存在ということですね。

(画像:田中みな実1st写真集『Sincerely yours…』(宝島社)Amazon販売ページより)
こうなれば坂道好きな女性ファンから、口コミなどでグループアイドルのことはあまり知らない女性層にも伝わっていきますし。
何より坂道はファッション雑誌のモデルをやっているコが多いので(前述した宇垣美里もよく女性誌に登場してますね)、いわゆる坂道ファンでない普通の女性に認知されていますよね。要はその雑誌のファンの女性……もっというと坂道にはそれほど詳しくなくてもそのアイドルは好きという女性が買うというケースもあるワケです。
かように女性目線で見て「キレイ、美しい」というのは、写真集の売上において、とても重要なポイントなのです。
<文/上杉純也>