今回の裁判は大きな一歩だとしても、まだまだ性犯罪被害者を取り巻く状況は問題が山積みです。
まず、警察の対応が被害者のハードルを上げています。事件当初、伊藤さんは警察官から「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」と被害届を出さないよう説得されました。捜査が始まってからも、男性捜査官の前で等身大の人形を使ってマットの上で現場の再現を求められ、何度も「処女ですか」と聞かれるなど、つらかった思いを著書で吐露しています。
また法律面でも、現在の刑法では、「意に反した性交」だけでは罪に問うことができません。強制性交等罪や強制わいせつ罪などは、“加害者による暴行・脅迫があったか?抵抗が非常に困難な状態であったか?”を立証することが要件とされてしまっています。
例えば今年3月、名古屋地裁で、実父が中学生の頃から長女に性的虐待を続けてきた事実は認めながらも、なんと無罪判決を言い渡されて、世に大きな疑問の声が高まりました。

12月18日、報告集会にて。撮影/週刊SPA!編集部
伊藤さんは、2020年に刑法・性犯罪規定の改正内容を見直すか検討されることに触れ、「日本に今、刑法で『不同意性交がレイプだ』という考えがあれば、私の経験したことも、刑事事件で違う結果があったかもしません」と話しています。
今回の敗訴を受け、山口氏はあくまで「性行為に合意はあった」と主張しています。「一方的な判決」だとして、18日の会見で控訴する意向を示しました。今後が注目されます。
<文/女子SPA!編集部>
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