伊藤詩織さん、バッシングの嵐で感じたこと「中傷に法的措置も」
ジャーナリスト伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之氏に性的暴行を受けたと訴えた裁判で、東京地方裁判所は、12月18日、山口氏に330万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
また、伊藤さんの記者会見での発言などで名誉を毀損されたとして、山口氏が伊藤詩織さんに1億3000万円の損害賠償と謝罪広告を求め反訴していましたが、判決は山口氏の請求を退けました。
18日の判決後、週刊SPA!編集部も参加した報告集会で、伊藤詩織さんは「この2年間、死ななくてよかった、生きていてよかったと思います」と涙ながらに語りました。
また、翌19日、伊藤さんは日本外国特派員協会で記者会見を行い、攻撃・誹謗中傷(セカンドレイプ)に対して「法的措置をとる」ことを明かしました。
記者から、伊藤さんを思わせる女性の横に「枕営業大失敗!!」の文字が入ったイラストを書いた漫画家・はすみとしこ氏や、「『伊藤詩織』という女の正体」などの記事を複数回掲載した『月刊Hanada』(飛鳥新社)の名前を挙げ、「もし東京高裁で勝訴した場合、そういうセカンドレイプ的な表現をしてきた人たちを訴える可能性はありますでしょうか?」との質問が出たのに対し、次のように答えました。
「どんな結果になろうと、民事でのピリオドが打てましたら、次は(攻撃・誹謗中傷への)法的措置を考えています。というのは、こういう措置を行わなければ、同じことがどんどん続いてしまう。
一番やはり心苦しいのは、私に対するコメントを見て、他の(性暴力)サバイバーたちも『同じように攻撃されるんじゃないか』と思ってしまうことです。性暴力サバイバーに向かうネガディブな声をウェブに残すこと自体が、いろいろな人たちを沈黙させてしまう理由になるので、法的措置をとりたいと考えています」(伊藤さん、以下同)
18日の報告集会で、伊藤詩織さんは、「今までなかなか語られてこなかった性暴力被害者の声たちが聞こえ始め、(以前に)私が観ていた景色と、今見ているこの今日の景色が本当に違うものだな」と話した上で、性暴力被害にあった人々に向けて呼びかけました。
「私ひとりが喜ぶことではなく、同じ経験をした多くのサバイバーの皆さんに、この会場の雰囲気を見ていただきたいんです」
「裁判を起こされていて、本当に孤独を感じている方々がたくさんいると思います。また、そこにたどり着けない、苦しんでいる方もたくさんいると思います。……それは当たり前のことです。誰も弱くないし、誰も強くない。私も、皆さんと同じです」
また、元気に見えてもトラウマに急に襲われ、今年7月には「自分の命を断とうと思い、自殺未遂をしてしまいました」と告白。
計画していたことではなく、「ふわっと足元をとられた」感じで自分でも理解できない行動を起こしてしまったそうです。幸い1~2日の入院ですみ、民事裁判を終えられた、と振り返りました。
性暴力被害者に対する攻撃、いわゆるセカンドレイプが、伊藤詩織さんだけでなく他の被害者に対しても多くなされている現状についても言及。
「社会の温度が少しでも高くなれば、発言しやすくなると思いますし、『助けて』って言いやすくなると思うんですね」
自身がネットでひどく攻撃されて、「体が冷たくなってしまった」かのように悩んだ時期もありましたが、現実の世界での反応は全く違ったといいます。
「道端で会う人、気づいてくださる方、みなさんポジティブなお声がけをしてくださって、誰からもネットで書いてあるようなことを面と向かって言われる機会がなかったんですよ。『ああ、オフラインの世界ってこんなに素敵なんだな』と思いました。(中略)
もっと『オフライン(ネットではなく実際)で、面と向かっていろんなことを話し合ってみたい、対話をしてみたい』という思いはずっとあります」
ネット経由で女性から「同じ性として恥ずかしい。このことが本当であったとしても、日本人女性としてこういう話をするべきではない」といった批判が来ることもあり、それに対しては自ら返信していたそう。
「そういう方には、“どういった背景や事情があるんだろう? 何かきっと、傷ついているからなのでは?”と気になって、メールなどで『ぜひ、もう少し、お話を聞かせて頂けませんか?』と連絡をしたんです。けれど、やはり、返事がきた試しがなかったですね。
今後、もう少しこういった話がオープンにできたらいいな、と私は願っています」
誹謗中傷に対して「法的措置をとる」
7月に自殺未遂していたことを明かす
ネット上での攻撃、リアル社会での励まし
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