ダイエット薬や脂肪吸引で死に至った女性も…解剖医は見た
家族と暮らしていても孤独な死がある
「孤独死がいろいろと問題になっていますが、一人でいる人が孤独とは限りません。社会とつながりを持っていれば、孤独ではなくなるでしょう」
確かに本書では、家族と同居しているのにもかかわらず自宅で亡くなってしまった方や、家族がいたからこそ問題が起きて亡くなってしまった方も紹介されています。
「誰かと一緒にいることでストレスになり、それが病気の原因になることもあります。いい死に方、悪い死に方というふうに考えたことはありませんし、こういう死に方がいい、ということも特にありません」
死を間近に診ている先生だからこその客観的な視点だと感じます。しかし人が亡くなったあとに死因を特定することは、残されたご家族のためなのでしょうか?
「そもそも私たち法医解剖医が解剖して死因を調べるのは、死体検案書を発行するためです。犯罪捜査目的の司法解剖を除けば、死因が明らかでない遺体について犯罪の見逃しはないか、あるいは結核など感染症に罹患していないかなどを確認します。死因を特定することには、そうした公益性があります」
誰でも、突然死ぬことはありえる
【西尾元氏 プロフィール】
1962年、大阪府生まれ。兵庫医科大学法医学講座主任教授、法医解剖医。香川医科大学(現香川大学)医学部卒業後、同大学院、大阪医科大学法医学教室を経て、2009年より現職。法医解剖医として20年で約3000体の遺体と向き合ってきた
<文/和久井香菜子>
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和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表
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