感情の見直し、そして価値観の整理と共有が終わったら、いよいよ夫婦での対話がスタートします。

ここでのポイントは、自分のコミュニケーションのクセを知り、違うアプローチ方法を身につけること。
「夫婦のコミュニケーションは、実は言葉以外の部分が多くを占めています。『あなたって凄い!』と褒めた妻の顔が、なんとも嫌そうな顔をしていたら、夫は素直に受け取れるはずはありません。そもそもコミュニケーションは今までの積み重ねでてきた自分のクセが無意識に出るものです。そのクセに気づき、練習して変えていく必要があるんです」(美紀子さん)
コミュニケーションを練習で変えるメリットは、怒りなど感情が高ぶったときに効果を発揮するといいます。
「例えば夫と意見が食い違った時『あなたはそう思うんだね』と、一旦受け止めることを決めたとします。でもこの言葉は無意識で出てくるレベルまで馴染ませないと、喧嘩など感情の高ぶりが起きたときに使うことはできません。新しいコミュニケーションでパートナーと接していきたいのなら、頭での理解と、身体での理解(トレーニング)が必要になっていきます」(美紀子さん)
ちなみにこの話を聞いて、私はある決意を1つしました。私の場合、恋人と喧嘩になると、つい「AってことはBだからCでしょ? てことはDをすればいいのに、どうしてできないの?」といった、いわゆる正論で論破するコミュニケーションを取りがちです。
すごく怖い女になるわけで、こうして相手はスキなく責められ、痛い所をグサグサ刺され、どんどん黙っていく姿をたくさんみてきました。そこで今後は何かあったら「そうかー」と言いたいことを一旦飲み込み、深呼吸して会話に向かおうと決意したのですが……まずは練習です。
あなたのコミュニケーションのクセは見つかりましたか? 女性なら周りの友人に聞けば、無自覚な言い回しやクセを見つけることができるかもしれません。
大人になると、伝え方なども固定化されていき、つい「これが私だから!」と開き直ってしまいがちです。しかし、いくつになっても変化や成長を求め続けた方が、幸せなパートナーシップが築いていける気がします。
【取材協力】
Life Design Labo/安東秀海・安東美紀子さん
業界最大手のカウンセリング事務所にてカウンセラー&講師として活動後、2015年に独立。結婚生活に悩む夫婦のためのカウンセリング&コーチングを行う。機能不全を生んでいる夫婦間のコミュニケーションパターン、価値観の違い、感情的なもつれを特定し、関係性修復に導くアプローチを得意とする。東京渋谷のカウンセリングルームには危機に直面した多くの夫婦が訪れている。
<文・イラスト/おおしまりえ>
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コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:
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