――どうやって排卵日検査薬を使うんですか?
放生:排卵日は、統計的に最低体温日の前日から5日間が多いとされています。基礎体温表でだいたいの目安はわかりますから、「低温期がそろそろ終わりかな」と思ったら、排卵日検査薬を使います。(+)が出たらスタンバイ。(+)から(-)に戻るあたりが排卵日だと考え、この期間になるべく多く、夫婦生活を持つのです。
排卵検査薬については、(+)がでたら排卵した、と思っている方が多いと思いますが、それは誤解です。排卵検査薬は排卵を促すホルモンを感知するものですから、(+)になったということは、「排卵しなさい」という命令が下ったということ。この段階で排卵が起きているとは限らないので、(+)が出た日から5日間ほどがチャンスだと考えてください。

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――なるほど。
放生:このタイミング法で、人工授精へとステップアップをしたものの妊娠に至らず、不妊治療をやめたいと悩んでいた方、二人目不妊で治療を始めた方で、体外受精で妊娠したけれど育たず“ステップダウン”をしたいと来院された方など、多くの方が赤ちゃんを授かっています。
タイミング法から不妊治療をスタートした人は、タイミング法で妊娠する可能性があるわけです。自分たちでできるストレスのなさも、結果につながっているのだと思います。
――やはり、ストレスはよくないですね。
放生:嫌な上司の顔を見ながら仕事をして、毎日毎日忙しくて、生理周期がおかしくなるなんてことはよくあることで、女性ホルモンはストレスの影響を受けやすいですからね。
ただ、すでに女性の社会進出が当たり前になり、社会の中で女性の活躍が不可欠になっています。ストレスがよくないからといって、このフレームを変えることはできませんし、赤ちゃんが欲しいからといって、明日から仕事を辞めることはできないでしょう。
――それはそう思います。
放生:人間が社会生活を行なっている以上、ストレスがない状態というのはありえません。ストレスを避けるというネガティブなアクションではなくて、うまくデトックスするアクションが大事だと思うんです。
与えられた環境の中で、どううまく対応していくか。繰り返しになりますが、妊活は不妊治療を含め、焦りすぎないこと、がんばりすぎないことが大切だと思います。
【前編はこちら】⇒
“不妊治療をがんばりすぎて妊娠しにくい体になる”という矛盾
【放生勲(ほうじょう・いさお)医師】

1960年、富山県生まれ。こまえクリニック院長、内科医。87年、弘前大学医学部卒業。97年、東京大学大学院医学博士課程修了(医学博士)。99年、東京都狛江市に「こまえクリニック」を開院。2000年、「不妊ルーム」を開設。不妊に悩むカップルのカウンセリング、フォローアップを行い、2000組を超えるカップルを妊娠に導いている。著書多数、近著は『
卵巣セラピーで妊娠体質をつくる』
<文/女子SPA!編集部>
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