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“不妊治療をがんばりすぎて妊娠しにくい体になる”という矛盾

「赤ちゃんが欲しい」と意識しはじめたものの、なかなか授からず不妊治療をスタート。しかし、成果が出ず、体のしんどさに加え、焦りと不安でこころのバランスを崩してしまう……。  不妊治療を受ける人が増えているいま、決して珍しい話ではありません。
不妊治療

写真はイメージです(以下同)

不妊治療をがんばればがんばるほど、赤ちゃんを迎える体からは遠ざかってしまう」  そう指摘するのは、『卵巣セラピーで妊娠体質をつくる』の著者で、20年にわたり、内科医の立場で妊活や不妊治療をサポートしてきた、こまえクリニックの放生勲(ほうじょう・いさお)先生です。  赤ちゃんを望んで始めた不妊治療によって、なぜ、赤ちゃんが遠ざかってしまうのでしょうか? 不妊治療の現状を伺いました。 卵巣セラピー

不妊治療のストレスで、心身がボロボロになる悪影響

――先生のクリニックではどのような治療をしているのでしょうか? 放生先生(以下、放生):うちは普通の内科のクリニックですから内診台はありません。風邪や糖尿病の患者さんと同じように対面でお話を聞き、検査をして妊娠できない理由を探り、必要に応じて漢方薬や薬を処方していきます。つまり、妊娠しやすい、妊娠を維持できるからだづくりのサポートですね。  あとは、基礎体温表のつけかたをレクチャーし、タイミング法を指導。人工授精や体外受精を希望する方には、信頼できる医療機関を紹介します。 ――どのような相談が多いですか? 放生:いろいろな方が来院されますよ。不妊治療は通常、排卵日を予測し、それに合わせてセックスをする「タイミング法」、精子を直接、子宮の中に注入する「人工授精」、それでもダメな場合、「体外受精」へと進みます。次の段階へ進むことを「ステップアップ」と言いますが、「ステップアップしようかどうしようか」と悩んでいる方は多いですし、また、不妊治療自体がつらくてやめたい、でも赤ちゃんを諦めたくはないという方も多くいます。  妊娠できない原因が明らかにある場合は別ですが、いったん不妊治療を休止して、当院の「不妊ルーム」に通いながら、自分たちでタイミング法を試したら妊娠した、という人は少なくありません。 基礎体温――「不妊治療をがんばればがんばるほど、赤ちゃんを迎える体からは遠ざかってしまう」とおっしゃいましたが、不妊治療をやめたら妊娠するというのは、矛盾しているような気がします。 放生:経験された方はわかると思いますが、不妊治療というのはストレスのオンパレードです。最近では、きれいなクリニックが増えましたが、それだとしても、不妊クリニックが楽しい場所のはずはありません。排卵日が近くなったら病院で内診を受けなくてはならず、それでもまた生理がきてしまい憂鬱になる。排卵誘発剤など、女性の体にかかる負担も相当なものです。不妊治療をお休みすると、そこから解放され、リラックスできたことがいい結果に結びつくわけです。  しかし、不妊治療を行うクリニックの中には、こうした女性のこころとからだを考えない、それどころか、“卵”しか見ない医師も少なからずいるようで危惧しています。

“卵”しか見ていない不妊治療クリニックも

――妊娠するには「卵」が大事だと思ってしまいますが、どういうことでしょう? 放生:たとえば、不妊クリニックに通っていたのに、うちに来てはじめて子宮筋腫があることを知ったという人がいます。不妊治療をしているのに子宮筋腫を見逃すなんて、卵しか見ていないからです。また、女性のからだのコンディションを知るのに基礎体温表ほどわかりやすいものはないのですが、この基礎体温表を重視しない医師も増えています。  また、検査結果の数値だけですぐに、ステップアップをすすめるケースが増えているのも、卵重視の現れだと考えています。 ――どういった検査ですか? 放生:代表的なのがAMHの数値です。AMHとは抗ミュラー管ホルモン(anti-M.llerian hormone)の略で、卵巣内にどれぐらいの卵が残っているのか、卵巣予備能をおし図るものだと考えられています。この値が低いと「あなたは37歳ですがAMHの値は43歳相当です。1日も早く体外受精をしたほうがいいでしょう」と言う医師が多いのです。  確かに、AMHの値は年齢と相関し、年齢が高くなればAMHの値も低くなります。しかし、決して、卵の質を表すものではありませんし、卵の数自体を示しているわけではありません。 ――そうなんですね。 放生:AMHの値は体調などにも影響されます。私の患者さんでも、AMHが42歳の平均値の0・8から26歳の平均値4・3に改善した人がいます。AMHは決して妊娠の可能性を示すものではないのです。でも、「AMHの値は43歳相当」なんて言われたら、1日も早く体外受精をしないと間に合わないと思ってしまいますよね。同じように、「もう38歳ですから」と、年齢から体外受精へ誘導されることも多いようです。
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いい不妊治療クリニックの見分け方
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