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7年間子どもができなくても、不妊検査をしない夫婦があったかい

パニック障害の自分が子育てをする不安も

パニック 女性

写真はイメージです(以下同じ)

 そんな梨花さんにはもうひとつ、子どもがいない人生を歩もうと思った理由があります。それは自身がパニック障害と闘っているということ。「できてもいいとは思っていましたが、もし赤ちゃんに大泣きされていたら、精神的にヤバかったんじゃないかと思う時期もありました。」  パニック障害とは突然、動悸やめまい、発汗、息苦しさ、手足の震えといった症状(パニック発作)が現れ、日常生活に支障が出てしまう病気のこと。繰り返し発作に襲われると、発作が起こりそうな状況下で予期不安や恐怖を感じるようになります。  梨花さんがパニック障害を発症したのは、今から13年前でした。一番辛かった時期は家から出ることもできず、実態のない耐えがたい恐怖や不安に、ひたすらのたうち回っていたそう。現在は当時に比べると症状はかなり良くなりましたが、何度も味わった恐怖が記憶に残っているため、たまに心臓がバクバクすることもあります。

パニック障害で知った夫の温かさ

「当時は『気の持ちようだよ』とか『気のせいだよ』、『弱いな』という言葉をかけられ、本当に泣けました」。そんな梨花さんの苦しみに寄り添い、一番近くで支えてくれたのが夫でした。「何もしなくていいからって言ってくれたのが、嬉しかったです。手をつなぐ男女 カップル 夫婦 恋人 近ごろはメンタル系の病気への理解も少しずつ広まりつつありますが、まだまだ「気持ちの問題」や「弱さが原因」と、誤解されてしまうことも多いもの。心の病気は目には見えないものだからこそ、本人にしか本当の苦しみは分かりません。しかし、理解ある夫の寄り添い方が梨花さんの心に届いたからこそ、子どもという結びつきにこだわらず、2人は幸せに時を重ねていけるのではないでしょうか。  自営業の梨花さんは「仕事中、主人と楽しく言い合いしている時や主人が猫や犬をあやしている時に幸せを感じます」と話します。私たちは、子どもの有無によって幸せの度合いを測ってしまうことも多いものですが、子どもがいなくても幸せにはなれる。梨花さん夫婦は、そう教えてくれているように思えます。 ―シリーズ「親としてのエピソード集」― <文/古川諭香 イラスト/ただりえこ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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