「結婚はしなくていいけど、子どもは…」独身女性の本音
結婚はしなくてもいい。でも、子どもは欲しい。そんな本音を秘めている未婚女性は、意外に多いはず。しかし、今の日本で独身のシングルマザーとして子どもを育てていくのは厳しいため、未婚女性は本音を隠し、子どもを持たないという道を選ばざるを得ません。
和恵さんは現在、45歳。これまで趣味や勉強にいそしみ、充実した日々を送ってきました。
「結婚は、とても相性のいい人と縁があればしてもいいかも。宝くじ一等が当選するくらいの奇跡的な確率かもしれませんが」。
そう語る和恵さんは“一生を同じ相手と苦楽を共にする”ために「結婚」という制度は必要だと思っていますが、個人的には結婚に対してあまりメリットを感じていません。
「結婚願望がないというか、金銭的にも自立できているし、虫も平気で、機械にも強いので結婚する意味が見いだせなくて」。
和恵さんは幼少期には女の子にありがちな「大きくなったら、パパと結婚する」という気持ちを持ったことも、これまでの人生の中で、この先ひとりは嫌だから結婚しておきたいという想いに駆られたこともなかったそう。あくまでも、結婚は合う人がいればしてもいいし、合わないなら無理してしなくてもいいと考えています。
過去に恋人から結婚を切りだされた時、一時は快諾したものの、相手の金銭状態も考えると「この人と一緒になるのは無理」と感じ、独身のままでいることを選んだそう。
「当時、私の年収のほうが彼よりも高かったので、籍を入れるメリットが分からなかった。例えば、結婚して私が300万、彼が150万出して貯金を作ったとしたら、これは共有財産になるので、もし離婚したら財産分与として225万円ずつですよね。ということは、私は彼に貯金から75万払わないといけなくなる。……そう考えると腑に落ちなくて、結婚できないって思ってしまいました。」
現代は女性も社会でバリバリと活躍しやすくなってきたため、和恵さんのように現状に満足している女性ほど、結婚という制度にコスパの悪さを感じてしまうのかもしれません。甘いだけの結婚生活を想像するのではなく、結婚の先にあるリスクに備えたいと考える女性も多くなっているように思えます。
そんな和恵さんには現在、恋人がいるよう。しかし、自分たちの関係はあくまでも「とりあえずのゆるいもの」だと語ります。「なぜか35歳を過ぎたくらいから『今まで誰とも付き合ってないの?』とか『ずっと処女?』みたいなことを言われるようになりました。彼も40歳を過ぎたくらいから『実はゲイなんじゃない?』と噂され始めたそうで……。」
また、知人を家に招き、手料理を振舞った時の“独身女性に対する偏見”も和恵さんの心をザワつかせました。
「『なんでこんなに料理できるのに結婚してないの?』って聞かれる。独身だから料理ができないという決めつけや、料理が下手だから結婚できないっていう憶測が面倒に思えて。」
共に周囲からの想像に嫌気がさしていた2人は、周りから聞かれた時に「付き合っている」と言える相手がいたら便利だと意気投合し、交際を開始。けれど、2人とも結婚に固執していないため、何か月も合わなかったり、別の異性と遊んだりすることもあると言います。
自分の望む生き方をしているだけなのに、セクシュアリティに関するデリカシーのない詮索をされるのは当人たちにとって苦痛なこと。冗談めいた言葉も当事者にとっては笑えないお節介なのです。
今回、取材に応じてくれた和恵さんも、そのひとり。結婚と出産に対する複雑な胸のうちを聞きました。
結婚のメリットが見いだせない
彼の金銭状態に、結婚に踏み切れなかった
「独身だから……」という決めつけ
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