「2人でも十分楽しいね」と言ってくれる子ども好きの夫
病気を克服することができた。それはとても喜ばしいことですが、凛さんの胸中は複雑でした。ご主人とは病気の治療後に出会い、結婚しましたが、もともとお互いに子どもが大好きであったため、子どもがいない人生を歩むことへの葛藤はものすごくあったと言います。
子ども好きな夫に「親子の時間」を生み出してあげられない苦しさ。苦しいのが自分だけではないと分かっていたからこそ、子なし夫婦という選択を直視することは、とても勇気がいることでした。
しかし、子どもがいない人生を共に楽しもうとしてくれるご主人の優しさに触れるうちに、心境は徐々に変化していきます。「主人は私と同じくらい子どもが欲しかったはずで、今でも諦められていないようなことも言ったりしますが、『
2人でも十分楽しいね』と言ってくれてもいます。それが嬉しい。」
凛さんの中には今でも、子どもは夫婦を繋ぐ大切な存在だという想いが残っていますが、付き合っていた頃と同じように隣で笑い合えるご主人との間には、凛さん夫婦にしか築けなかった絆があるように思えます。
女性なら結婚して子どもを産むのが、当たり前。そんな風潮を日常の中で強く感じることは、まだまだ多いもの。しかし、他人の結婚や出産に対して必要以上に踏み込み、トゲを刺す権利は誰にもありません。
―シリーズ「
親としてのエピソード集」―
<文/古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291