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渡米していた私が見た激動の数日。コロナ禍で「一瞬で街から人が消えた」

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中で非常事態になっています。日本でも日に日に感染者が増え、首都圏では医療崩壊が危惧されています。  ここまで事態が深刻になる直前、仕事で3月9日から17日まで、ロサンゼルスに行っていました。CSUNカンファレンス(国際障害者技術支援会議)に出席するためです。 CSUNカンファレンス(国際障害者技術支援会議)の様子

何事もなく終わったカンファレンス

 出発前の3月上旬はまだ中国や韓国が主な感染地だったと思います。開催されるか疑問だったカンファレンスは「慎重に議論した結果、開催することになった」と連絡がありました。往復の航空チケットや参加費6万円を払っていたこともあり、返金できないというので予定通りに出発したんです。とにかく行く前は風邪も引かないように気をつけていて、あまりのプレッシャーに胃炎になってしまった。健康維持って難しい……。  当時アメリカではインフルエンザで亡くなったかたが1万人を超したということで、行く前はむしろそちらのほうが怖かったです。ロサンゼルスへの直行便が欠航になったのでサンフランシスコ経由で行きましたが、空港でマスクをしていたのは、アジア人数名。
カンファレンス会場はそれほど混んでいませんでした

カンファレンス会場はそれほど混んでいませんでした

 少し前に「ニューヨークでマスクをしていた日本人が暴行を受けた」というニュースがあったばかりだし、在米韓国人の方は「韓国人街で暴行事件があった」と言うし、新型コロナに対するアジア人への差別がめちゃくちゃ怖かったです。欧米は「病気の人しかマスクをしない」文化だと聞いていたので、私も現地に着いたらマスクはしないようにしました。そして何かに触ったら、それが信号機の押しボタンでも、すぐにアルコールで消毒です。  展示会と講演で構成されたCSUNカンファレンスですが、会場のあちこちに消毒用のジェルが置いてある以外は、マスクをしている人もいません。換気のためか会場内は送風が強くてめちゃくちゃ寒かったですが、10日~13日の会期中、大きな混乱はありませんでした。ビュッフェの提供までありました。

刻一刻と変化する状況を目の当たりに

 そうこうするうちに12日にディズニーランドが14日から休園することを発表、13日にはトランプ大統領が国家非常事態宣言を出しました。するとムードがガラリと変わったんです。
閑散とするリトル・トーキョーの様子

閑散とするリトル・トーキョーの様子

 14日にリトル・トーキョーへ行きましたが、取材しようと思っていた全米日系人博物館は臨時閉館していました。つい1日前にネットで調べたときは、そんな情報はどこにもなかったのに!  15日はサンタモニカピアも賑わっていたし、ショップも開いていました。食事は念のためテラスにしましたが、普通にレストランで食べることができました。
ショップは閉店し、人がほとんどいないサンタモニカ

ショップは閉店し、人がほとんどいないサンタモニカ

 ところが週が明けて16日になると、ピアは閉鎖されて入れません。ショップは軒並み閉店、サンタモニカプレイスというショッピングセンターは、工事中の施設なみにがらんどうです。レストランは持ち帰りのみ。お土産が買えないどころか、食事も飲み物もままならないんです。部屋でずっとテレビを観ながらUber EATSで頼んだご飯を食べて過ごしました。
ホテルのテレビでコロナ関連のニュースを見ていました

ホテルのテレビでコロナ関連のニュースを見ていました

 テレビでは、パンデミックを報じるニュースや対策を放送していました。スーパーマーケットで開店前から長蛇の列ができていることや、学校が休校になって、子どもたちに今の状況をどう伝えたらいいか、自宅でどんな学習をさせたらいいかなどを伝えています。
買いだめのを報じるニュース

買いだめに来た人々で並ぶ開店前のスーパー

 食料品やトイレットペーパーの買い占めが起こり、「俺は70歳になるけど、こんなことは初めてだよ」なんておじさんが取材に答えています。13日まではスーパーマーケットは大した混乱もなかったので、数日でガラリと状況が変わったようです。
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空港では重装備の欧米人たち
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