会社の上層部の縁故で入った新入社員がやたら大きな態度をしてひんしゅくを買うというのはたまに耳にする話です。しかしそれがもし、社長の恋人だったとしたら……？ 　現在は派遣社員として働いている芙美子さん（仮名・36歳）は以前勤めていた会社を、新入社員兼社長の恋人に半ば追い出される形で退社した経験をお持ちです。 「私のいた会社は全社員で30人ほどのそんなに大きくはない新しめの広告代理店。私は広告制作のデザインを担当していました。社長はまだ30歳そこそこでワンマンなオラオラ系でしたが、その分だけ社員同士の結束が強く雰囲気も悪くはありませんでした」 　それが一変してしまったのが、独身だった社長に新しい彼女・A子ができた時でした。ある日、朝礼のタイミングで全社員に「来週から一人入社することになった」と通達があったそうですが、それが自分の彼女であることを喫煙所で上層部の面々に大声で得意げに喋っており、ワンフロアの社内にその話は筒抜け。平社員たちにもあっという間に広まったとか。 「何でも合コンで知り合ったそうですが、その時A子は転職活動中で新しい仕事を探していたんだとか。『うちで働けばいいじゃん』みたいなノリで彼女を口説き、入社までさせたようです。出勤初日の挨拶の時からめちゃくちゃ堂々とした出で立ちで『私は社長の女なのよ』というオーラがむんむん。女性社員はみんな引いていました」 　A子さんは柴咲コウ系の強めな美人で社長はあからさまにメロメロ。しかしA子さんは自分の立場をある意味とても良くわかっており、社内で一番後輩の立場にもかかわらず、雑用は断る、全社員で行う掃除には参加しない、朝礼には出ないという重役クラスの勤務っぷり。というか実は仕事は全くしておらず、就業中もPCの前でひたすらネットサーフィンをしているだけでした。 「もちろん、さすがにこれは……と思って私も注意しましたよ。でも、それは速攻で社長に告げ口されて、私の方がなぜか叱られたんです。それどころか提出した書類にも難癖をつけられるようになったり、雑用を私が専任でするように命令されたり……社長からのパワハラの標的にされ始めたんです」 　芙美子さんに対する社長の態度に、他の社員たちも怯え始めて社内の空気は一気に悪化。社長が外出してる時にほんの少しでも愚痴をこぼそうものならそれもすぐA子さんからの伝達で社長の耳に入り、男性社員は恫喝に近いお叱りを受けていたとか。