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離婚に理由なく慰謝料750万円要求する妻…夫がすんなり支払った理由

ぼくたちの離婚 Vol.25 シュレーディンガーの幸せ 後編】 書籍化・コミック化も果たした、「男性側の視点から見た離婚」に迫る人気ルポ連載「ぼくたちの離婚」。本記事は、「妻の顔色だけをうかがう生活」を8年に及び続けた男性の真意に迫るルポの後編です(前編「生活費も家事もほぼすべて夫が負担…『妻の顔色だけをうかがう生活』を続けた理由」)。 【前編】⇒「生活費も家事も夫がほぼ全負担…『妻の顔色だけをうかがう生活』を続けた理由」はコチラ ※以下、稲田さんによる寄稿。  園田圭一さん(仮名/39歳)は27歳のとき、当時24歳の莉子さん(仮名)と結婚。しかし約2年後、ヒステリーを起こして食器を壊す莉子さんに恐怖した園田さんは、以降、莉子さんの顔色をうかがうだけの毎日を過ごすようになる。話だけ聞けば地獄そのものの夫婦生活。しかし驚くべきことに、園田さんは「それが異常な状態だということに気づいていなかった」という。
※写真はイメージです

※写真はイメージです(以下同)

なぜか「負担」でも「苦痛」でもなかった

「うちは物心ついた頃から両親の仲が最悪で、母が再婚した継父も異常に感情表現の乏しい人だったので、普通の夫婦、普通の家庭がどういうものなのか、わからなかったんです。母親はヒステリーだし、再婚後も不倫していましたからね。そういう異常な状況に対する適応能力が高すぎて、莉子との日々が“負担”とか“苦痛”とかいう実感がありませんでした。だから、僕自身のメンタルは一切病まなかった」(園田さん、以下同)  驚きだ。過去のバツイチ男性取材で、この手の「妻から尋常でない不機嫌をぶつけてこられる」人は大抵、疲弊を極めて自分自身も心療内科にかかっていた。園田さんは相当なレアケースだ。 「幼い頃にハードな環境で鍛えられたせいか、僕、自分の心のバランスを取るのがものすごく上手いみたいなんです。考えても解決できないことは意思の力で考えないようにできますし、傷つきそうになったら事なかれ主義も決め込める。いつ、いかなるときでも、完璧に心を整えられます」  莉子さんとセックスレスになってからは、風俗にも通った。 「それも心のバランス取りです(笑)。何かにつけ、心に空いた穴を秒で埋めるスキルが高かったんでしょうね。だから、ことさら『この結婚生活は苦しい。今すぐ逃げ出したい』と歯を食いしばっていたわけではないんです」  つまり、莉子さんとの結婚生活は、続けようと思えばいくらでも続けられた。

8年間の眠りから覚める

 ところが、莉子さんが最初にヒステリーを起こしてから実に8年後、すなわち入籍から10年目の春。園田さんがひとりでランニングしている最中に、“それ”は訪れた。 「その時走っていたのは、かなり急な上り坂で、相当息が上がっていました。そういうときは無駄な思考が全部削ぎ落とされて、頭がすっきり整理されるんです」  ふと園田さんの頭に、1週間ほど前に配信で久しぶりに観直した映画『マトリックス』が浮かんだ。 『マトリックス』は、主人公のトーマスが『自分が生きているこの世界は、コンピュータによって作られた仮想現実である』ことに気づき、平和で快適な仮想世界を捨て、救世主「ネオ」として過酷な現実世界で戦うことを選択する物語だ。 「今までに何度も観てる映画だったのに、なぜかそのときはじめて“気づいた”んです。ああ、ネオは僕だ。今まで僕は自分の人生を生きていなかった、と」 ぼくたちの離婚 Vol.25 後編 その瞬間、強烈な嘔吐感が園田さんを襲い、思わず道端で吐いた。 「ランニング中に吐いたのは初めてです」  園田さんが8年間の「死」から目覚めた瞬間だった。 「天啓なんかじゃありませんよ。自力で気づいた。そこが大事なんです
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離婚の驚くべき代償
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