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「ハムナプトラ」俳優が、“魂の演技”でカムバック!「この仕事が僕は大好き」

 第95回アカデミー賞で主演男優賞に輝いた『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザー(54)が4月上旬に来日。その際に叶ったインタビューをお届けします。ブレンダンといえば、大ヒット、ファンタジーアクション『ハムナプトラ』シリーズなどで、日本でも絶大な人気を誇ったハリウッドのイケメンスター。いっときはスクリーンから遠ざかっていましたが、『ザ・ホエール』での演技で見事に一線にカムバックを果たしました。
15年ぶり来日の『ハムナプトラ』イケメンスターは演技派オスカー俳優になっていた

ブレンダン・フレイザーさん

 さらに、同アカデミー賞では『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(2008)で共演したミシェル・ヨーが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞に、『原始のマン』(1992)で共演したキー・ホイ・クァンが『エブリシング~』で助演男優賞に輝き、ブレンダンにとってある種の同窓会状態かつ、それぞれが苦労の末のオスカー獲得だったことにも注目が集まりました。

『ハムナプトラ』のブレンダンにインタビュー!

『ハムナプトラ』のブレンダンにインタビュー!

『ザ・ホエール』より

 さて、ブレンダンの来日は『ハムナプトラ3』以来15年ぶりとなりました。『レスラー』『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督が、劇作家サミュエル・D・ハンターによる舞台劇を映画化した『ザ・ホエール』。極度の肥満体となった主人公チャーリーが、死期を悟り、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうと決意する本作。  毎回4時間をかけて、チャーリーになるための特殊メイクを施し、魂の演技を見せたブレンダンですが、そこには、特殊メイクや演技の技術などもさることながら、ブレンダンが演じたからこそ生まれたチャーリーの姿が確実にあります。そこでブレンダンに、「役者本人から役へとにじみ出る部分はどの程度あると考えるか」聞いてみると、「全部」との答えが。また、オスカー獲得より価値あることだと感じた出来事も教えてくれました。

役者本人から役に影響する部分は「全部」

役者本人から役に影響する部分は「全部」

『ザ・ホエール』より

――とても素敵なチャーリーに魅了されましたが、それはブレンダンさんが演じたからこそだと感じました。役者さん本人から役へと影響する、にじみ出る部分はどのくらい強いものがあると、ブレンダンさん自身は考えますか? ブレンダン・フレイザーさん(以下、ブレンダン)「それはもう全部だよ。チャーリーが、自分の脆さや正直な部分を求められる役だったから、ということも大きいけれどね。全部だと思います。この作品は、もともとサム・ハンターさんが個人的な経験をベースに書いた戯曲で、いろんな役者さんが舞台で演じてきました。  僕はまだ舞台版を観たことがなくて、いつか観たいとは思っているのですが、話で聞くところによると、今までの方のアプローチでは、もっとアグレッシブで怒りの強いチャーリーだったそうなんです。ステージではそれが有効かもしれませんが、映画だと細かいディテールが全部捉えられるので、違うかなと。何か型を使うタイプの演技ではなく、誠実に演じるしかないと思いました。サムさんも理想のチャーリーだと僕に伝えてくれました」
小さくて暗い部屋の中にいる灯台のようなキャラクター

来日記者会見より

――とてもチャーミングなチャーリーでした。 ブレンダン「チャーリーは物理的にも非常に小さくて暗い部屋の中にいる、灯台のようなキャラクターです。そして、光に向かっていき、最後には彼自身が発光して、観客とともに互いの感情を感じ合い、みなで、ある種のカタルシスを経験します。僕がお話した方には、この映画を観て、『疎遠になっている家族と連絡を取りたくなった、できるような気がします』と言ってくれる人が結構います。それができればそこにもカタルシスが訪れるでしょうし、癒しに繋がるかもしれないと思っています」
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誰かの運命を変えるかもしれない作品
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