自殺未遂をして“助かった”体験を自ら漫画化。作者が語る「死ぬのって怖い」の重み
自殺未遂をした体験と後悔、そして命が助かったことの喜びをつづったコミックエッセイ『ウツパン 消えてしまいたくて、たまらない』(著/有賀 監修/末木新、太刀川弘和、髙橋あすみ 新潮社刊)。著者の有賀さんは小学生の頃から希死念慮を抱え、日々積み重なるストレスに耐えていました。大学3年生のある日、ついに自殺未遂をしますが、直後に猛烈な後悔に襲われます。
今回は有賀さんに、自殺未遂に至った経緯や、辛かった時期に寄り添ってくれた友人の接し方などについて聞きました。
【第1回記事】⇒死にたい時、助けを求めるって難しすぎる…自殺未遂の後悔を漫画化した作者に“本音”を聞いた<漫画>
【第2回記事】⇒10歳で自殺しようとした体験を自ら漫画化。作者の考える“子どもが命を断つ理由”は<漫画>
【漫画の1話を読む】⇒『ウツパン 消えてしまいたくて、たまらない』1話
――大学生の時に自殺未遂をしてしまったのは、なぜだったのでしょうか。
有賀さん(以下、有賀):私の場合は精神的に追い込まれてくると自分では処理しきれない事象で頭がいっぱいになって、「もうダメかもしれない」と死ぬことに意識が向いてしまいました。そういう時期に「こういう方法で死ぬことができる」と自分で調べて気づいたことがトリガーになったと思います。
――自殺未遂をしてから非常に後悔したことが描かれていました。
有賀:そのときは死にたいと思っても、決行してから「やっぱり死にたくない」「死ぬのは怖い」と強く感じました。
自殺を止めるためには、「死ぬのが怖い」という思いが一番大事だと思います。死ぬ方法について調べたり知識をつけるのはすごく危険なことですが、「調べたい」という欲求があると止めるのは難しいです。そこで「自分って何か変だな」と感じたら医療機関に頼るのがいいと思うのですが、なかなかできない人もいます。
もし今死ぬことを考えている人がいたら「死ぬのって怖いからやめた方がいいよ」と伝えられたらいいなと思います。
また、監修の先生からは「自殺の手段を断つことが一番いい」と聞きました。例えば、ある手段をできないようにすると、別の手段を調べるための時間や、道具を手に入れるための時間が必要になります。その間に医療機関に頼ったりすることができるので、無理矢理にでも手段を断って時間を稼ぐことは大切だなと感じました。
――自殺未遂をするまで、精神的に追い込まれた原因は何だったと思いますか?
有賀:大学生になってから、小学生の頃から溜まっていたストレスを理解できるようになったことで、よりうつっぽくなってしまったのだと思います。今まで積み上げてきたしんどさに押し潰されるようになり、ある日布団から起き上がれなくなってしまいました。
――医療機関には頼ったのでしょうか。
有賀:本当に精神的にヤバいと感じたときに、初めて大学の保健センターに行って色々と話を聞いてもらえるようになりました。学内に相談できる場所があったのは良かったです。精神的なしんどさで保健センターを利用する学生は結構多いと聞きました。
大学3年生のときに担当医の方が「ちょっと危ない状態だから入院した方がいいよ」と精神病院を紹介してくれたので入院することになりました。