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10歳で自殺しようとした体験を自ら漫画化。作者の考える“子どもが命を断つ理由”は

自殺未遂をした体験と後悔、そして命が助かったことの喜びをつづったコミックエッセイ『ウツパン 消えてしまいたくて、たまらない』(著/有賀 監修/末木新、太刀川弘和、髙橋あすみ 新潮社)。著者の有賀さんは小学生の頃から希死念慮を抱え、日々積み重なるストレスに耐えていました。
漫画『ウツパン』

『ウツパン 消えてしまいたくて、たまらない』(著/有賀 監修/末木新、太刀川弘和、髙橋あすみ 新潮社)

今回は有賀さんに、子どもが自殺をしてしまう要因や、中高生時代に感じていた生きづらさなどについて聞きました。 【前回記事】⇒死にたい時、助けを求めるって難しすぎる…自殺未遂の後悔を漫画化した作者に“本音”を聞いた<漫画> 【漫画の1話を読む】⇒『ウツパン 消えてしまいたくて、たまらない』1話

子どもとっては、親に構ってもらうことが一番重要

――漫画の2話では、10歳の頃に自殺を思いとどまった話が描かれていました。そのことを含むご自身の経験を振り返って、子どもが命を断つ理由などについてどう思いますか? 有賀さん(以下、有賀):私の場合は、「自分がいなくなることで自分に意識を向けてほしい」みたいなことを思っていたのだと思います。小さい子にとっては親に構ってもらうことが一番重要だったりします。でも、自分が親にやってほしい理想像が環境の辛さと合っていませんでした。 私以外の自殺をしてしまった子ども達にはそれぞれ違う事情があるはずなので断定はできないですが、求めているものと現実が違っていたのかなと思います。子どもは自分の辛さを表現する方法がありません。「自分はこれだけ辛いんだ」というのを自殺という方法で表現する方向へいってしまったのかもしれないなと思います。

話を聞いてくれる大人がいれば、少しは違ったかもしれない

――子どもの頃、周りの人にしてほしかったことはありますか? 有賀:気軽に話をしたり、抱え込んでいることを聞いてくれたりする大人がいたら少しは違ったのかもしれません。同世代に話しても結局「私はこうだよ」と自分ごとの話になってしまうし、子ども同士だと難しいところがあると思います。 当時の私の家庭では、姉は自分のことで精一杯だったし、親も昔は忙しくてあまり話ができる雰囲気ではなかったので相談することはなかったです。
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ペンを握って机に向かうことがしんどかった
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