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「タトゥーがある人は信用できない?」岩田剛典の『アンチヒーロー』“首タトゥー”が大きな注目を集めた理由

 長谷川博己主演の『アンチヒーロー』(TBS系)が16日、最終回を迎えた。平均世帯視聴率は自己最高の12.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、全話平均では今期民放ドラマで唯一2ケタをキープ。「日曜劇場」ブランドにふさわしい有終の美を飾った。
『アンチヒーロー』公式サイトより

『アンチヒーロー』公式サイトより

 同ドラマは、“ヒーロー”とは言い難いダーティな弁護士・明墨正樹(長谷川博己)が主人公となるリーガルサスペンス。“逆転パラドックスエンターテインメント”と謳うように、〈明墨のやっていることは正義なのか悪なのか?〉と視聴者を惑わせるストーリー展開となっており、同作の人気は、意味深な演出や仕掛けられた伏線によって視聴者の考察が盛り上がったことも背景にあった。  そんな“考察班”の存在は制作側もよく理解していて、プロデューサーや監督らがインタビューなどを通して設定や世界観などの解説をしていたが、中でも積極的に情報発信をしていたのが、第4話、第5話、第8話、第9話(第9話は共同)で演出を務めたTBSの宮崎陽平監督。『アンチヒーロー』の手書きのタイトル文字は明墨の元同期・桃瀬礼子(吹石一恵)が書いたものだった、といった裏設定から、キャストや撮影の裏話にいたるまで自身の公式Xアカウントで発信をし、ドラマの盛り上がりに一役買っていたのだ。  その中で、岩田剛典(EXILE/三代目J SOUL BROTHERS)演じる緋山啓太のタトゥーについて解説するポストが話題になった。

タトゥーをしている人間は誠実に見えない?

 緋山は耳の後ろにタトゥーをしていて、その設定について、メイン演出である田中健太監督は、TBSサイトに掲載されたインタビューにおいて「過去のやんちゃぶりを匂わせる演出をしたかったから」と解説。6月9日、宮崎監督はこの部分を引用しながら、「田中監督が話していますが、緋山のタトゥーは学生時代にやんちゃだった過去を表現。言ってることの信頼度を下げたいという狙い」とXにポストした。  これにあるユーザーが「TBS「タトゥーを入れてる奴の言ってることは信頼できない」」と引用ポストすると、宮崎監督は「誤解していただきたくないのは、タトゥーをしてることに対する信頼性の否定ではなく、岩田さんのお顔がお綺麗なので誠実で正義感に溢れたように見えないように、視聴者の皆様を惑わせるアイテムにしたかったということだと思います…どうぞお間違いなく(原文ママ)」と返答した。

タトゥーに託された演出上の意図

 緋山は第1話・第2話で取り上げられた町工場社長殺人事件の容疑者。弁護を買って出た明墨は無罪を勝ち取るのだが、実は緋山は本当に殺人を犯していて、明墨にはそれを分かっていながら、ある目的があって緋山を無罪にした……ということが後に明かされる。劇中、緋山は恵まれない環境で育つ中で非行に走り、闇バイトに手を染めてしまった過去があることも明かされており、そういう背景をタトゥーに匂わせた……という制作サイドの“こだわり”を宮崎監督は伝えたかったのだろう。  緋山が信頼できる人物なのか、本当に無実なのか、と疑問を抱かせる要素は、俳優の演技によってまず表現するもの。実際、第1話の緋山は法廷での態度がいいとは言えず、「本当はやっているのでは?」という声はその時点からネット上で散見されていた。タトゥーだけでなく、岩田の演技やドラマの演出によって十分に「視聴者の皆様を惑わせる」狙いは達成されていたのだ。
 また、最終話放送後に「私の中でタトゥーの謎まだ解決してないんだけど」「結局緋山の耳の裏のタトゥーは明かされないまま?」と、制作側の解説を知らないであろう視聴者のコメントもあり、緋山のタトゥーへの注目の高さが伺える結果に。  実際、岩田が第6話放送のタイミングで、タトゥーがはっきり映る写真を自身のインスタグラムに“匂わせ”投稿していたため、何か大きな意味があると考えていた視聴者も少なくなく、“あのタトゥーは事件の裏にある闇の組織を表しているとか?”などさまざまな考察も出ていただけに、“過去のやんちゃぶりを匂わせるため”という答え合わせに「何か深い意味があるのかと思ったのに」と感想も見受けられた。
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EXILEや三代目のメンバーもタトゥーはしているが…
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