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自分の価値観を押し付けてくる嫌なパパ友…話題ドラマの44歳俳優がそれでも「尊い」と言えるワケ

 多部未華子主演ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系、毎週火曜日よる10時放送、以下、『対岸の家事』)で、厚生労働省の官僚役で出演するディーン・フジオカが、ずいぶん嫌な役柄を演じている。
『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』 (TBS)公式サイトより

『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』 (TBS)公式サイトより

 誰がどう見てもほんと嫌な役だが、ドラマを見ていくと、それなりに憎めない人だとわかる。さらに、この役をディーン・フジオカが演じることで、尊さすら感じてしまう。  本作のある場面で視聴者が仰ぎ見るディーン・フジオカが、なぜ尊いのか? 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。

専業主婦を揶揄する存在

 結婚を機に専業主婦として家庭に入った主人公・村上詩穂(多部未華子)が、幼い娘を連れて児童館にやってくる。自分以外はママ友たちで輪を作って会話している。なかなか入れない。  そんな詩穂と目が合い、育児と仕事をばりばり両立している(かに見える)長野礼子(江口のりこ)が話しかけてくれる。でも詩穂が専業主婦だと知った途端、鼻で笑う。礼子は専業主婦が今時珍しい「絶滅危惧種」であり、仕事をしながら育児する自分に比べて、気楽な存在だと思っているからである。  詩穂は美容師だった。あまり器用ではない性格を自認して、仕事ではなく家庭を選んだ。彼女なりの誠実な選択にもかかわらず、礼子以外にも専業主婦が時代にそぐわない「贅沢」だと揶揄する存在がいる。厚生労働省の官僚で、今は育児休暇中の中谷達也(ディーン・フジオカ)だ。

一見さわやかなパパ友に見えて……

 娘の成長を穏やかに見つめる育児は幸せなことだけれど、一日の間に幼い娘以外の誰とも話さない詩穂は、さすがに誰か大人の話し相手がほしいと思っている。でも、その大人たちは自分を半ばバカにしてくる。あぁ、誰かいないの!? と悶々とするとき、詩穂はある人物を夢に見る。  中谷である。まだ会ったこともないというのに、どうして夢にでてきたのか。夢にまで見るほど、誰か大人を渇望しているからなのだが、夢の中の中谷も現実の中谷もかなり嫌な人である。  夢の中では詩穂を軽蔑するようにあからさまに見下ろしてくる。現実では一見さわやかなパパ友に見えて、ひたすら自分の価値観を押し付けてくる。中谷が本格的に登場する第2話の児童館の場面では、賃金が発生するわけではない主婦の家事を仕事ではないと輪をかけて言ってくる。鼻で笑ってきた礼子のほうがネチネチしていない分、まだましかもしれない。
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増殖するディーン・フジオカ
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