“将来を誓った”59歳女性と63歳男性の「結婚しない関係」が羨ましい。恋と呼ぶには情熱が足りないけれど|ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』
アラ還、アラフィフたちの迷いや葛藤、そしてそれをなんとか明るく受け止めて前に進んでいこうとする人物たちに元気づけられると評判になっているドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系、月曜よる9時~)。
定年まであと1年の吉野千明(小泉今日子)と、定年後も再任用制度で市役所勤めを続ける長倉和平(中井貴一)の恋は一向に進まない。恋と呼ぶには情熱が足りないが、そこには情熱より長く続く友情と信頼感がしっかりと根づいている。
このドラマ、巷で言われていることだが、登場人物たちがほぼ実年齢で出演しているのが興味深い。シリーズ第3弾、11年ぶりとあって、俳優も視聴者も同じように年を重ねてきたため共感を呼ぶ。
長倉家4人兄妹(中井貴一、飯島直子、内田有紀、坂口憲二)と、隣家に住むテレビ局ドラマ制作部のプロデューサーである千明との関係を中心に、この疑似家族の温かさが目をひく。
こんな関係があったら羨ましいという声が続出しているのが、今の時代を象徴しているような気がしてならない。今の時代、「血のつながりを重視する家族」という関係に、うんざりしている人たちが増えているのではないだろうか。家族よりは少し距離があって、お互いの存在を大事に思いながらも必要以上には踏み込まない。だが、何かあったら駆けつけられる距離に、信頼できる人がいるというのは稀有なことだ。
このふたり、一応、「いつかは一緒に」という口約束をしているのだが、いまだに基本的に「ですます調」で話しているのもおもしろい。そこに馴れ合いではない他人感、互いの意志で今の生活を続けていることが透けて見える。脚本の妙だと思うが、オリジナル脚本を担当している岡田惠和氏もまたアラ還である。
千明と長倉家が一緒に食べるのが「朝食」なのがいい
千明は毎朝、長倉家で朝食をとる。毎日、顔を合わせることで、「何かあった?」という言葉も出る。夕食でなくて、朝食というのがいい。夕食だと束縛感が強いからだ。この朝食場面では、毎回、千明と和平が丁々発止、やりあうのが「お約束」。だいたい和平が追いつめられて、あたふたと言葉を探しまくるのだが、そんな様子を弟妹たちはチャチャを入れたり笑ったりしながら見ている。
「老い」を受け止めながら、それでも前に進んでいく
老いを実感するアラ還だが、それを受け止める気持ちと抗う気持ちが交錯する場面が多々、見える。和平も千明も、「あの頃の私だったらこうしてた。でも今だからこうしてしまった」とさまざまな場面で思う。それぞれの経験を披露しあいながら、あの頃だったら、もう少しうまく世渡りしていたけど、今だからこそ正直でありたいと言った和平、逆にあの頃だったら正直にぶちまけていたけど、今だから思わず黙ってしまったと言う千明。 気持ちだけが前に進んで体がついていかないと和平が嘆くシーンもある。それでも、この世代、「がんばっている自分」が好きなのだ。何があっても決して投げ出さず、粘り強く、自分の限界を超えていく快感が染みついている。「バブル世代」と揶揄(やゆ)されても、昭和ど真ん中世代はがんばり続けることでしか、自らの存在価値を見いだせない。そんな哀愁も、セリフのやりとりからにじみ出てくる。
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