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“将来を誓った”59歳女性と63歳男性の「結婚しない関係」が羨ましい。恋と呼ぶには情熱が足りないけれど|ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』

円熟の中井貴一と小泉今日子が見せる、光と闇

 実年齢を演じているからこそ、役者たちは光と闇を生き生きと見せつける。超絶明るいアイドルだったキョンキョンが、ふとしたときに見せるせつない表情。順調に役者としてのキャリアを歩いてきたように見える中井貴一の円熟した演技。それぞれ年月を積み重ねてきた賜(たまもの)だろう。
 中井貴一という役者の微妙な間のとり方は、この人がどれだけ演技について思考と体験を積んできたかを想像させる。父は二枚目スターだった佐田啓二。2歳半のときに父を亡くし、その後は母と姉(中井貴惠)と暮らしてきた。人前ですぐに赤面するたちで、俳優になる気などまったくなかったそうだ。ところがひょんなことからオーディションを受けることになり、役者の道へ。  根が堅実な性格なのだろう、役柄も実直なものが多かったが、実は三谷幸喜監督の作品などでは、そのコメディアンぶりが話題になっていた。実直な性格だからこそ醸し出せる深い「おかしみ」がこの人にはある。背中を追いかけたくても父がいなかった実生活、その父の死因が運転手の居眠り運転だった車の事故だと知ったときの、おそらくどこにもやり場のない怒りと哀しみ。そんなものを抱えながら、いつでも全力で演技に取り組んできたに違いない。  おそらく、アイドルだった小泉今日子にも、イメージからの脱却や「女優業」を確立させるまでの塗炭(とたん)の苦しみがあったはずだ。  「芸は人なり」である。そんなふたり、そして周りを囲む俳優たち(和平の弟妹たちもまた、とんでもなく個性豊かで愛おしい)のさまざまな思いがあいまって、このドラマは「とんでもない事件」が起こるわけではないのに、一瞬たりとも目が離せないものになっている。 【予約受付中!】⇒ノベライズ版『続・続・最後から二番目の恋』の詳細はこちら <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
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長倉家で毎朝朝食をとる千明
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