News

「大企業は守らない!」立民議員の謎ラップ⇒大炎上で削除・謝罪…政治家の“軽すぎる言動”が繰り返されるワケ

今、政治家であることは、どのような意味を持つのでしょうか。

話題沸騰!「さくラップ」の衝撃

立憲民主党・鎌田さゆり衆院議員の行動が議論を呼んでいます。参院選に立候補予定の打越さく良議員をPRするラップ動画を公開したところ、独特すぎる口調と動きがネット上で話題となっているのです。
それは、オードリー・春日俊彰氏の“カスカスダンス”のような動きに合わせて、“さーくら、さくら”と候補者の名前を連呼するもの。その合間に、「大企業守らず中小企業守ろう」とか「食料品は消費税ゼロでいこう」と政策を訴えています。 しかし、お世辞にもラップとは言い難く、間延びしたお笑いのリズムネタのような代物でした。よくぞ世界にさらす気になったものだと驚愕します。 当然、党内からも批判の声が上がりました。鎌田氏は即座に動画を削除したものの、すでに拡散されてしまい後の祭り。6月28日には、自身のSNSでライブ配信を行い、「私、どうしても、色んな方に笑ってもらいたいな、笑顔になってもらいたいな、というのがあって、それが人さまによっては、不快な思いをさせてしまった。猛省でございます。」と謝罪する事態に追い込まれたのです。 ネット上では、「これじゃさくらじゃなく錯乱だ」とか「ロクに韻も踏んでいないのにラップを名乗るな。文化へのリスペクトがない。若年層にこびてるだけ」など、批判的な意見で溢れています。 筆者も同感ですし、鎌田氏個人への批判もやむなしと考えます。

「思想ゼロ」の政治家たち

しかし、同時に、鎌田氏のラップは今日の政治の機能不全そのものを象徴しているとも感じました。理由はふたつ。 まず、ネット選挙の弊害により、政策アピールがキャッチコピー未満の分量になってしまったことです。小泉純一郎元首相の手法がワンフレーズポリティクスと揶揄されていたのも今は昔。
小泉純一郎

小泉純一郎元首相 画像:株式会社エイブル&パートナーズ プレスリリースより(PRTIMES)

鎌田氏のラップを見ると、もはやフレーズですらなくなってしまいました。「大企業守らず中小企業守ろう」とは、一瞬“その通り!!”と賛同したくなる勢いがありますが、いやいや両方守れよ、というのが普通の感覚であるはずです。 にもかかわらず、ここでの鎌田氏は“大企業=悪、強者”、“中小企業=善、弱者”という構図に何の説明もしないどころか、それが政策的、道徳的に正しいとの前提が存在するかのごとく振る舞っています。 つまり、政治が全くの無思想になってしまったのです。ここで言う「思想」とは、右翼とか左翼とかの話ではありません。もっと根源的な、“私がこう考える根拠を納得してもらうための言葉”のことです。 しかしながら、その類の言葉は、コスパ、タイパ全盛の時代では、とにかくまどろっこしい。こうして、政策はグループ分けの記号程度の意味合いしか持たなくなってしまいます。 SNS選挙によって、この空洞がハイスピードで広がっている。“さくラップ”は、それを示しているのです。
次のページ 
社会から政治が消えた2つ目の理由
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ