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迫る最終話…朝ドラ『あんぱん』で何度でも見返したい“傘の名場面”「ぎこちないが眼差しは熱く…」

 戦前、戦中から戦後へ、朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)の物語がクライマックスに向かっている。後半部で気になる関係性がある。  主人公・柳井のぶ(今田美桜)の妹・朝田蘭子(河合優実)と、八木信之介(妻夫木聡)との恋仲である。ネット上では八木信之介役のモデルの一人がサンリオ創業者と考えられているが、蘭子との恋仲はどうも史実ではないらしい。でも夢がある創作だ。  男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、二人の恋仲を温める愛の名場面を解説する。

ピリッと意志疎通する出会いの場面

NHK『あんぱん』© NHK

NHK『あんぱん』© NHK

 今田美桜主演の朝ドラ『あんぱん』の主人公・柳井のぶ は、漫画家として独立した夫・柳井嵩(北村匠海)との家計を、少しでも支えるために掛け持ちで働いていた。雇ってくれたのは、嵩にとっては戦中の恩人・八木信之介(妻夫木聡)だった。  戦後すぐは闇酒を製造していた八木だが、雑貨屋の店主を任されていた。第20週第100回、のぶの妹・朝田蘭子(河合優実)が店にやってくる。ぶっきらぼうを絵に描いたような性格の八木は、のぶから蘭子を紹介されてもあぁそうかいといった感じ。  漫画家の夢と葛藤する嵩の話題になると、八木は「あいつの書く言葉は全部、俺には詩に聞こえるけどな」と言う。微笑んだ蘭子が「そんな風にお感じになるあなたも詩人ですね」と八木に言う。  すかさずのぶが蘭子は映画の記事を書いていると説明すると、八木は少し蘭子に興味を持ったのがわかる。八木と蘭子の間には何かピリッとするものを感じるが、不思議と意志疎通する出会いの場面だ。

蘭子の映画評を酷評するが……

NHK『あんぱん』© NHK 読書家の八木は芸術(特に文学)を愛好している。彼は本の虫で、戦中から暇さえされば活字を目で追っている。芸術(映画)について文章を書いている蘭子に興味を持つのは当然である。八木はちょっとした教養テストで蘭子を試そうとする。 「逆境が人に及ぼすものこそ輝かしい」。誰の名言からの引用か。一間置いて蘭子が「あっ、シェイクスピア」とぼそり答える(引用はシェイクスピアの喜劇『お気に召すまま』)。  文学好き同士の会話が噛み合ってきた。兼業で書き物仕事をしていた蘭子だが、第21週では物書きとして独立する。第101回からは八木が設立した「九州コットンセンター」に出入りするようになる。  同社ヒット商品であるサンダルの宣伝文を持参する蘭子に対して、八木は「ありきたりだな」と突き返す。第102回では、最近どうもうがった目線で対象作品をこき下ろしてばかりいる蘭子の映画評を酷評するのだが……。
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八木信之介役のモデルはサンリオ創業者?
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