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『国宝』との興収差を超えて。同時期に公開された吉沢亮の “もう一つの主演作”を今こそ見るべきワケ

 2025年最大のヒット映画『国宝』は日本映画の歴史を塗り替え(第98回アカデミー賞ではメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされている)、主演俳優である吉沢亮の女形には、誰もが見惚れた。
『ババンババンバンバンパイア』公式サイトより

『ババンババンバンバンパイア』公式サイトより

 さらに同時期公開のもう一つの吉沢主演作『ババンババンバンバンパイア』は、吸血鬼映画の歴史を更新した。「18歳童貞」の血を求めるバンパイア像は、少なくともメジャー作にはありそうでなかった設定だからだ。  令和の吸血鬼役の吉沢亮もまた美しい。日本の映画賞授賞式が控える中、見直すべき『ババンババンバンバンパイア』の魅力とは? イケメン研究家・加賀谷健が解説する。

年が明けて栄冠尽くしの吉沢亮

 2025年が吉沢亮イヤーであったことは、何よりメガロドン級の主演映画『国宝』の歴史的ヒットが物語っている。  同作は邦画実写の興行収入ランキングで歴代作を追い抜き、1位に躍り出た。令和に文芸映画がヒットしたことも日本映画史の画期的出来事だと言わざるを得ない。  観客動員数は1200万人を優に超えている。誰もが吉沢の演技を称え、彼が体現した審美的な女形像に心底酔った。極限のところまで線を細く研ぎ澄ました横浜流星の演技も同様に美しかった。  カメラもまた常に接近して美しいクローズ・アップを捉えなければ気が済まないという様子で、二人の美男俳優に惚れ込んでいたように見えた。  誰もが酔い、カメラですら惚れてしまった吉沢亮が、控えめに言って日本のあらゆる映画賞を総なめにすることは誰の目にも明らかだった。  実際、2025年12月に授賞式が行われた第50回報知映画賞の主演男優賞、第38回日刊スポーツ映画大賞での主演男優賞受賞(対象作には『ババンババンバンバンパイア』も含まれる)を呼び水として、授賞式前の第80回毎日映画コンクールの主演男優賞受賞も発表されたばかりで、ちなみに『キングダム』(2019年)で助演男優賞を受賞したことがあるブルーリボン賞でもおそらく主演男優賞受賞は確実だろう(※編集部注:1月28日、ブルーリボン賞主演男優賞には『宝島』妻夫木聡が受賞し、『国宝』は作品賞を受賞した )。  各映画賞の授賞式が控え、年が明けて栄冠尽くしである。

原作者からのフランクなレコメンド

『国宝』吉沢亮

※株式会社東急レクリエーション リリースより

『国宝』は2025年6月に公開された。初週興行成績はまずまずというところだったのに、公開から約2ヶ月間で瞬く間に100億円を突破した。邦画公開作が100億円を超えるのは22年ぶりのことだった。  主演の吉沢にはもう一つ同時並行的な主演作があった。『国宝』から約1ヶ月後に公開された『ババンババンバンバンパイア』である。純粋に観客動員数や興行成績の観点から、後者が前者に対して控えめに見えたことは、さまざまなメディアがこするように指摘してきた。  筆者自身、(大の吸血鬼映画マニアであるにもかかわらず)何となく『国宝』の勢いが眩しいあまり、せっかく案内がきていた『ババンババンバンバンパイア』の試写を見逃した記憶がある。  すると2025年の映画賞ノミネートが発表され始めたという頃、同作の原作者である奥嶋ひろまさが、X上でフランクなレコメンド的ポストをしていたのを見かけた。  それは引用ポストだった。まず、とある吉沢亮ファン(?)が、いかに『ババンババンバンバンパイア』の吉沢の演技をとにかく見るべきだというポストをしていた。それを引用した奥嶋が「私からも頼む。」と投稿(2025年11月25日)したのだ。何だかフランクな誘いを受けた気持ちになり、配信中の作品を見てみると……。  これが掛け値なしでめっぽう面白かった。まず第一にこの作品は、ジム・ジャームッシュ監督の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013年)で完全にネタ切れになった感があった吸血鬼映画に、清々しい新要素を追加してくれた。
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吸血鬼映画の歴史を更新
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