「XSが入ったら勝ち」若い女性に広がる“細さマウント”、なぜここまで加速? 40代も他人事じゃない
みなさん、こんにちは! ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子(すみゆうこ)です。20代の女性を中心に人気のアパレルブランド「Darich(ダーリッチ)」で発売中のデニムが「サイズが小さすぎる」ということで、X(旧Twitter)を中心に話題となっています。さらには、このデニムをはけることがある種のステイタスとなっているようで、巷では「#XSチャレンジ」が流行中。
今回は、若者の痩せ進行を加速させるSNSの闇深い一面と、SNSとの上手な向き合い方についてお話ししていきます。

話題になっているのは、ダーリッチの「ドロップビジューフレアデニムパンツ」。従来のアパレルブランドが展開しているXSサイズがおおよそ、ウエスト58cm〜64cm、ヒップ80cm〜88cm前後であるのに対し、ダーリッチの同デニムのXSサイズは、ウエスト54cm、ヒップ77cm(公式サイトより)と一回り以上も小さく、他ブランドならXXSやXXXS、あるいはキッズ服に相当するサイズ感です。成人女性ならアイドル並みのスタイルでないと物理的にはくことすら難しいでしょう。
そのため、一部ネット上で「ダーリッチのXSデニムは拒食症製造機すぎる」などと揶揄されていますが、たしかにこのサイズ展開を考えるとそう言われるのも少し納得してしまいますね……。
Sサイズ以上の人間からすれば、ダーリッチデニムのXSサイズなんて考えるまでもなくはけないので他人事です。しかし、元からXSサイズを着ている女性は、スタイルが良いという自負があります。「細い子の中でも、群を抜いて細いという証明が欲しい」「アイドル並みに細い子しかはけないダーリッチのXSデニムがはけたら、それは自他ともに認める神スタイルの証」といった、スタイルに対するマウント合戦のツールとして「ダーリッチのXSデニムを穿いてみた」、通称「XSチャレンジ」の投稿が、若い子の間で流行しているというわけです。
このような若い女性の痩せ信仰は、もちろん今に始まったことではありません。私たちの青春時代である1990年代や2000年代だって、過激なダイエットが流行り、拒食症を発症する20代が急増し社会問題として取り上げられていましたよね。
しかし、今回のXSチャレンジを見るに、その痩せ信仰はかなり加速しているという現実を目の当たりにしました。だって、筆者が20代前半だった2000年代初期は、このダーリッチのXSサイズをはけてしまうほど細すぎる子は、ほとんどいませんでしたから。
厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」の結果によれば、2023(令和5)年の20代〜30代女性の「やせ」(日本肥満学会の判定基準でBMI18.5%未満※)の割合は全体の20.2%。今から15年前である2011(平成23)年の若い女性のやせの割合は16.6%だったので、この十数年を見ても痩せ信仰が加速していることがわかります。
※BMI(Body Mass Index):[体重(kg)]÷[身長(m)2]で算出される、肥満度の国際的な指標。
原因のひとつとして、SNSの普及が影響しているのではないかと筆者は考えています。15年前の2011年といえば、SNSは存在していましたが、今ほど生活に密着していませんでした。Instagramはまだ日本語版さえなく、YouTubeも動画共有サイトという認識でしかありませんでした。もちろんTikTokなどは影も形もなく、今のような「インフルエンサー」という言葉も職業として確立されていませんでした。
そこから一気に個人メディアが加速。自分よりスタイルが良くて可愛い身近な一般人を星の数ほど目の当たりにした女性たちは、無意識に他者比較傾向に偏っていったのではないでしょうか。SNSは自己表現の場でもある一方で、「私よりあの子の方が人気者」や「私はいいねをもらえない」といった他者比較や焦燥感、自己否定に結びつく危険性もはらんでいます。
体型についても、「SNSで人気のあの子みたいに細くなければいけない」という価値観を植えつけてしまった結果、すでに細くて可愛いのに、もっと細く、可愛く……! と、とめどない欲望が、痩せ信仰を深刻化させているのかもしれません。
「拒食症製造機」と揶揄されるデニムのXSチャレンジ

若い女性たちの痩せ信仰が加速しているワケ
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