「寝たきり老人にお風呂を!」から48年。なぜ『24時間テレビ』のテーマは“ポエム化”し、感動を売るしかなくなったのか
8月29日、30日に放送される『24時間テレビ49』(日本テレビ系)で、俳優の星野真里がマラソンランナーに決定しました。難病を患う娘の母親という人選に納得の声がある一方、感動をゴリ押しした演出にうんざりしているという意見も根強くあります。
もともと『24時間テレビ』は貧困や飢餓に苦しむ世界の人たちを救う目的だったはず。過去の放送では政策立案的なテーマが設定されていました。それが実際に効力を発揮したかどうかはともかく、社会で問題となっている事柄を視聴者に具体的に提示する意図は明確でした。
ところが、近年では出演者と視聴者がいっしょに感動することだけが目的となってしまいました。どれだけ批判されようと、マラソンは外せなくなったのです。
一体どうしてこうなってしまったのでしょうか?
そこで番組の歴史を振り返ると、「感動」するしかなくなってしまった要因が見えてきます。
まず第1回、2回の放送(1978、79年)は、「寝たきり老人にお風呂を!身障者にリフト付きバスと車椅子を!」というキャッチコピーでした。いまの言葉で言えば、ワンイシュー。非常にわかりやすく目的を訴えるテーマです。
1980年代に入ると、さらに海外へと視野が向けられるようになる。「カンボジア・ベトナム・ラオスの難民のために!」(第3回 1980年)、「君の地球のボランティア!アフリカ飢餓緊急援助!世界コミュニケーション記念」(第6回 1983年)、「アフリカ飢餓救援」(第8回 1985年)といった具合です。
80年代といえば、日本が好景気に沸いていた時代です。豊かだったからこそ、アジアやアフリカの厳しい状況に目を向けるゆとりがあったという見方もできるでしょう。
初回放送からの問題意識は共通しています。国の内外を問わず、解決すべき問題に目を向けさせるテーマ設定だということです。
「寝たきり老人にお風呂を!」80年代まではわかりやすいテーマ設定
バブル崩壊と共に急激に「ポエム化」
ところが、それが1992年の第15回からガラリと変わります。それまで具体的なトピックを指していた言葉が、以下の通り、突如ポエムになるのです。 「愛の歌声は地球を救う」(第15回 1992年)、「ONE LOVE〜つなげよう!ひとつの愛〜」(第19回 1996年)、「伝えたい…夢のちから!」(第22回 1999年)。 寝たきり老人もアジアやアフリカの子どもたちもどこかへ行ってしまいました。そして、時代はバブル経済が終わり、リストラ、不況の90年代へ。そう、日本経済にとって失われた30年が始まったのが、この1990年代なのです。 かつては国外へと思いを馳せた日本人からゆとりと視野の広さが失われた。内向きになり、経済力という切り札を失い、途方に暮れ始めたのと時を同じくして、『24時間テレビ』がフワフワとしたポエムを繰り出すようになったのです。
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