「ムーミン」の真実4選!“ムーミン谷”が日本の意外な県に来年誕生
今年のセンター試験の「地理B」で、『楽しいムーミン一家』の舞台を問う問題が出題され、話題となりました。
ムーミンの公式サイトを運営する会社は「イマジネーションの世界の話であり、ムーミン谷がどこの国とは言えない。それぞれの心の中にある、というのが正しいと思う」と取材(※)に答えていましたが、センター試験の解答としては、作者トーベ・ヤンソンの出身国であるフィンランド、という認識にもとづいて解答するのが正しい、らしい。難問すぎる……っていうか、出題ミスじゃないの? と筆者は思います。
公式サイトによると、ムーミンの正式名称は「ムーミントロール」。さらに、「好奇心旺盛で人当たりの良い男の子。」とあります。「人当たり」とあるからには、物語に登場する人気キャラクターのスナフキンやミイなんかは人間だろうと思ったあなた、残念。
ムーミンはもちろん、スナフキンやミイも「トロール」という妖精で、そのトロールには色々な種族がいて、姿かたちもさまざまなのだそう。トロールとは、フィンランドをはじめとする北欧に広く伝わる妖精の一種ですが、トーベ・ヤンソンが創造したムーミン谷のトロールたちはすべてオリジナルで、架空の生き物です。
20代・10代の読者には全くピンとこないと思いますが、かつて日本では、大きく分けて2度、ムーミンのアニメがテレビ放送されたことがありました。
一度目は1970年前後に放送された、その名も『ムーミン』、こちらはフジテレビ系列でした。しかしこのフジテレビ版、結果的には原作者トーベ・ヤンソンの不興を買うことになってしまいます。その理由とは、ズバリ「これは、私のムーミンではありません」……ガクッ。
フジテレビ版のムーミンでは、原作よりもふっくらとしていて、日本の視聴者に受け入れやすいようキャラクターデザインを工夫していたことが仇(あだ)となってしまいます。ほかにも、お話の中でムーミンがケンカで殴り合ったり、虫捕り網で蝶を捕まえたりと文明の利器を使う場面をヤンソンは受け入れられず、当時の制作会社がクレームを入れられる事態となってしまいました。
その後、時代は平成へと移り、1990年には放送局をテレビ東京系列に変え、ヤンソン自身も制作に加わるかたちで『楽しいムーミン一家』がスタートし、“昭和ムーミン”ことフジテレビ版とはまったく違うものとして生まれ変わりました。
そんな歴史もあり、いまもフジテレビ版のムーミンは、原作サイドからのお達しにより、再放送やソフト化が禁止されているそうです。
ちなみに、「♪ねえムーミン」で知られるテーマソングは昭和のフジテレビ版の方です。また、こちらのムーミンの声をあてたのは岸田今日子。熱演だったようなので、お蔵入りなんて、もったいない!
あまり知られていませんが、原作者のトーベ・ヤンソンは女性で、若い頃には男性との恋愛を多く経験しました。が、彼女が死ぬまでにともに過ごしたパートナーは、3歳年下のトゥーリッキ・ピエティラというグラフィック・アーティストの女性で、当時もふたりの関係は公然たるものでした。
ふたりは1955年、ヤンソンが41歳のときに出逢い、2001年に86歳で亡くなるまで、生涯をともにしたそうです。
ムーミンファンには有名な話ですが、『ムーミン谷の冬』に登場するトゥーティッキー(おしゃまさん)というしましまシャツを着た太っちょのキャラクターは、ピエティラがモデルだといわれています。パートナーの存在を、世界的に長く愛される作品に刻み込むなんて、とっても素敵ですね。
ファンタジーの舞台と、原作者の出身国はイコールとは限りませんし、また、ムーミンが好きな人をのぞけば、一般的な日本人には「ムーミンといえば北欧」のイメージがあるくらいではないでしょうか。 ……と、考えれば考えるほどモヤモヤする問題ですが、ムーミンについて調べていくと、意外なのはその舞台だけではないことがわかりました。ムーミンの舞台はフィンランドかノルウェーか…という問題がセンター試験で出てお怒りのみなさんも多いようで…。まだまだ知られてないんだな、と反省、もっと知ってもらえるよう公式サイトもがんばります!これを機にムーミンの世界について知ってもらえると嬉しいな。
— ムーミン公式サイト (@moomin_jp) 2018年1月13日
ムーミンは妖精。じゃあスナフキンやミイって人間?妖精?
日本には昭和ムーミンと平成ムーミン、ふたつのアニメが存在!?
原作者トーベ・ヤンソンの生涯のパートナーは女性だった
1
2








