美のもと「フルーツビネガー」がブームの兆し。カフェメニューからシュウェップスまで
「酢を飲むと健康にいい」という話は、昔から繰り返し言われてきました。1970年代にはりんご酢にはちみつを混ぜて飲むのが流行りましたし、90年代には黒酢ダイエットが一大ムーブメントに。両親や祖父母がせっせとお酢を飲む姿を目撃したり、なんなら「お前も一緒に飲め」と言われたことがあるのでは?
ただ、従来のお酢は独特のツンとした風味がハードルとなり、「体にいい」とわかっていても飲み続けるのはかなりの気合いと根性が必要でした。
ところが、美味しくておしゃれな果実酢(フルーツビネガー)の登場で、状況が一変しました!
果物を原料とするフルーツビネガーは口当たりが軽くて飲みやすいのが特徴。また、フルーツビネガーは果実由来のクエン酸やリンゴ酸、ポリフェノール、ミネラルといったヘルシー成分を手軽にとることができます。日本ではお酢というと、米酢などの穀物酢のイメージが強いですが、海外ではむしろフルーツビネガーが主流。イタリアンでおなじみのバルサミコ酢も「ぶどう酢」のひとつです。
フルーツビネガーは、実は美容にいい要素がテンコ盛りです。
まずはダイエット。一例を挙げると、「りんご酢」を12週間摂ることで内臓脂肪や皮下脂肪を減少させることが、日本のお酢メーカーによって科学的に実証されています。
“アンチエイジング調味料”としても注目を集めています。たとえば、紫外線対策。お酢はビタミンCの破壊を防ぎ、新陳代謝を盛んにします。そのため、肌に老廃物を残さず、しみやしわの改善も期待できるとか。また、フルーツに含まれる抗酸化ポリフェノールが、紫外線のダメージから肌を守ってくれるそう。
また、むくみ予防にも一役かってくれるとか。管理栄養士の柴田真希さんはこう解説します。
「夏は汗をかいて塩分の排出量が多くなることもあり、つい塩分過多になりがちです。塩分をとりすぎると、むくみにつながるため要注意。お酢は食べものの塩味を強く感じさせる効果があるので、減塩対策としてもおすすめです」
飲み方としては、「昼食後に、水や炭酸で割って飲む」のが効果的、と柴田さん。
フルーツビネガーを買ったり、飲んだりできるお店も増えています。オリーブオイル・ワイン専門店「フォムファス」(国立・自由が丘・代官山・表参道)では国産のぶどうを原料としたワインビネガー(白・赤)を必要な分だけ量り売りしてくれます。また、ビネガーの歴史や製法、種類、使い方などを教えてくれるセミナーを実施。オンラインショップもあります。
下北沢にある和カフェ「まるさんフーズ」では30~50種類もの酢から好きなものを選び、サイダーや牛乳で割ったり、お湯割りにして楽しめるそう。また、東京スカイツリー至近のフラワーショップの奥に併設されたカフェ&バー「branche」(墨田区)ではキウイや桃、ローズヒップ、オレンジといった自家製果実酢と豆乳をミックスした「豆乳のサワードリンク」が人気だとか。
一方、おうちで楽しむフルーツビネガーの選択肢も広がっています。柿の生産量日本一を誇る和歌山県にある田村造酢の「ミヨノハナ 柿酢」は地元特産のたねなし柿を丸ごと使用。水も一滴も使わず、柿の成分を凝縮。 “奇跡のリンゴ”として話題になり、映画化もされた青森のリンゴ農家・木村秋則さんのリンゴを使った酢もありました。京都・飯尾醸造の「にごり林檎酢」は自然のままに育てた木村さんのリンゴを丸ごとすりおろし、やはり水を一滴も使わずに作るそうです。
さらに今年7月28日には、日本コカ・コーラの大人向け炭酸飲料ブランド「シュウェップス」からフルーツビネガーを使った炭酸飲料が登場! 「シュウェップス フルーツビネガーゼロ マスカットレモン」は、ぶどう酢とレモン酢を配合したゼロカロリー飲料。フルーティで飲みやすく、カロリーを気にしなくていいとは、女心をわかっていらっしゃる。フルーツビネガーがこの夏もますます盛り上がりそうです。
<TEXT/島影真奈美>