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離婚で名前が変わることを子供に伝えたらこうなった【シングルマザー、家を買う/16章】

<シングルマザー、家を買う/16章> バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。 (前号までのお話) リフォームが完成し、ラガーマン(不動産屋)がお祝いに来ることに。彼に対し恋心にも似た気持ちを抱いていたシングルマザーだったが、“工場萌え”であることをとうとうと語ってしまい、お茶に誘うも断られてしまったのだった。

吉田家の新たな生活

 リフォームが完成し、とうとう我が家となった家に引っ越した私と娘と息子、そしてデブ猫・プー太郎(8.5Kg)。その日から、私が大黒柱となる吉田家の新たな生活が始まった。  このタイミングで、娘は年中クラスに、息子は1才児クラスへと進級。それと同時に、保育園で名乗る苗字を、元旦那の苗字から、今の私の苗字である“吉田”へと変更することにした。  現在、離婚届を役所に提出しただけでは子供の名義は変わらない。子どもたちの苗字を母親の旧姓に変更するには、裁判所に行かないといけないのだ。その情報を市役所で手に入れた私は、離婚後、すぐに最寄りの裁判所に足を運び、名前を変更した。  しかし、保育園では名前を途中で変更するといろいろ面倒なことが起きるため、進級する4月まで、元旦那の名前を使用することにしていたのだ。  そして、ついに訪れた苗字変更のタイミング。この名義変更に関し、息子はまだバブバブしているので説明は必要ないが、娘はすでに4歳半。すでに好きなアイドルがいるくらいの理解力のため、どうしたって名前が変わることを説明しなくてはいけない。保育園ではどの持ち物にも以前の苗字が書いてあるのだから、これは避けようのないこと。  そこである日、私はきちんと娘に、今の現状を話すことを決めた。離婚のことも、苗字が変わることも。

ドキドキの離婚報告

 その日の夜、3人一緒にお風呂に入った時に、娘に「話があるの」と声をかけると、まだ4歳の娘は「なんでしょう」と返してきた。私の娘はどこにでもいる女の子らしく、言葉遣いがとてもおしゃまで、どちらかというとマセているのだ。もうすでに女である。  お風呂の中で、パパとはもう一緒に暮らさないこと、でも、パパとは会いたいときに会えるということを、ゆっくり、わかりやすく話した。思い切り泣きつかれるかと思いきや、そこでの娘の答えは、「しってる」というあっさりしたものだった。  4歳ながら、これまでのバタバタをしっかりと感じ取っていたのだろう。とはいえ、こんなにもあっさり受け止められたのは、いつもそばにいてくれたじいじとばあばのおかげだ。誰もパパの悪口を言うことなく、娘がパパの話題を出したときはさらりと相手をしてくれた。  娘は娘なりに、2歳のときからパパがそばにいないことを受け止めていたのかもしれない。いつも家にいないパパよりも、いつも家にいてくれるじいじとばあばがどんなときでも全力で相手をしてくれていたのだから、当然といえば当然だったのかもしれない。

苗字変更は“へんしん”

 その流れで、「今日から娘の名前は“吉田娘”にかわります」と伝えると、「え!?」と今までにない驚きの表情を見せたのだ。そして一拍置くと、内緒話をするように口元に手を当てて、こうささやいた。 「……もしかして、わたし、へんしんするの!?」  これはもう、チャンスである。 「プリキュア」シリーズや戦隊モノの見すぎで、娘の中ではどうやら名前が変わることはそんなに変なことではないらしい。しかも、男装アイドルの風男塾が好きなだけあって、“実は女だけど、男の格好をしている”とか、“女の子のときは違う名前をして活動している”という、大人だとわりと頭がこんがらがるようなことを柔軟に受け止めることができるのだ。 シングルマザー、家を買う/16章 私はその考えを思い切り活かそうと思い、即座に頭を切り替え、こう話した。 「そうなの。だから“よしだ”になるんだよ!」 ⇒【後編】「『クロワッサンになります!』子供の純粋さは最高の救い」に続く http://joshi-spa.jp/234975 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

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