【20キロやせた断食体験記 Vol.1】 　運動しても、太ってしまう――そんな私が、本当にやせた最後のダイエットは断食でした。1年間で本当に20キロやせた私が見つけたダイエット……月1断食ダイエット。そのおかしくも、キビしいみちのりをちょっとだけご紹介いたします！ 　暴飲暴食と運動不足によって、4年間で30キロ太ってしまったわたし。途中、このままではダメだと、ダイエットに挑戦すべく、スポーツジムに通ったりもしますが、デブの才能に溢れるあまり、ダイエット中に増量するという信じられない結果を生んでしまいました。 　そんなわたしが行き着いた究極のダイエット方法は、「断食」でした。 　「断食」とは、飲食を断つということ。食べなければ痩せる……とても、わかりやすい、シンプルな理論です。 　とは言いつつも、食べないって本当にできるの？ 家の中には、食料が溢れているし、一歩外へ出れば、コンビニやスーパー、飲食店などなど、誘惑がたくさんあります。自分で自分の食欲を抑えることに自信のもてなかった私は、旅立つことにしました。目指すは、断食することを目的とした断食施設です。 　日本では、断食を行える施設が100を超えてあります。温泉やマッサージなど、リラクゼーションの一環として断食を行う施設。お医者さんがやっている病気の治療を目的とした断食を行う施設など。さまざまな目的によって断食を執り行う施設があるのです。 　数ある断食施設の中で、私が選んだのは、山の中にある某断食施設でした。その施設を選んだ一番の理由は、激安であったところです。断食というのは、当たり前ですが、食べ物を食べません。前後におかゆなどを食べたりするとういう事前情報を得ましたが、せいぜいおかゆです。 　食事がつかない（ついたとしておかゆ）宿泊施設に何万円も出せるか！ コスト意識の高い私は、ネットで検索した中で、最も安い断食施設に行くことにしたのです。 　その施設の断食方法は、水しか飲まない水断食がベースでした。その後、さまざまな断食を体験しましたが、この水断食以上にきつい断食方法はありませんでした。 　断食を行うと、好転反応と呼ばれるものが起きます。好転反応とは、頭が痛くなったり吐き気を催したりする症状を指すのですが、水断食の場合、かなり強い症状が出ます。 　ちなみに私の場合ですが、水断食中に下腹部の激しい腹痛に襲われ、病気が再発してしまいました。病気の再発によって、強制退所となってしまうのですが、これは正しい断食の知識とカラダの知識が、施設にも私にも足りなかったからだと思います。 　この施設に私が行ったのは、雪が残る寒い時期でした。プレハブで出来た施設は、夜になると眠れないほど寒く、お風呂は2日に一度、銭湯に連れて行ってもらい、シャワーを浴びるだけでした。銭湯でも、湯船に入ることは固く禁止されており、守らない人がいると連帯責任で、次のお風呂はナシという罰則のようなものまでありました。 　断食初心者の私は、そんなものなのだろうなと、何の疑問も持たずに受け入れていましたが、さまざまな断食を体験した今、病気の再発の原因は、ここにあったのではないかと思わずにいられません。 　断食中、カラダの中の毒素がそれを排出しようと駆け巡ります。この排出を促すために、カラダを温めてあげることがとても重要です。つまりは、この施設で禁止されていた湯船につかる入浴こそ、断食中にしたほうがいい、好転反応の辛い状態を緩和してくれる対処法だったのです。 　お金をケチって、安いというだけで断食施設を選んでしまった私ですが、あの時の自分に、今現在持っている断食知識があれば、病気の再発はなかったように思います。 　散々なスタートを切りましたが、こうやって私の断食人生は幕を開けたのです。 ＜TEXT, ILLUSTRATION／尾山奈央＞ ●尾山奈央：1980年生まれ。脚本家、エッセイスト。断食ダイエットの体験を詳細にリポートした著書『1年で20キロやせた私が見つけた月1断食ダイエット』（泰文堂）がある http://oyamanao.com/