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田中みな実の“ミカン眼帯”、水野美紀の怪演…ドラマ「M」のダサさに釘づけ

 浜崎あゆみとエイベックスのプロデューサー松浦勝人氏をモデルにした連続ドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)が18日、初回放送されました。
(画像:『M 愛すべき人がいて』テレビ朝日公式サイトより)

(画像:『M 愛すべき人がいて』テレビ朝日公式サイトより)

 昼ドラや1980年代に放送された大映ドラマを思わせる、アク強めの演出のわかりやすいシンデレラストーリー、また、世の中で見かけない眼帯をつけた田中みな実がアニメキャラのようなビジュアルであるなど、ツッコミどころが多い内容でした。Twitterでもトレンド入りするなど、今クールの話題作であることは間違いないようです。  ドラマに詳しいライター・田幸和歌子さんに、大映ドラマとの関係や、田中みな実の演技をはじめ、第2回で登場する強烈キャラを演じる水野美紀など、『M 愛すべき人がいて』について解説してもらいました。(以下、田幸さんの寄稿)

田中みな実、見た目以上に笑えるのが演技プラン

 みかんの皮のような奇妙な眼帯をつけている田中みな実は『スチュワーデス物語』(TBS系列 1983年から1984年)で、口で手袋を外す義手のマリコ役を演じた片平なぎさを思わせる演技で話題となっていますね。(40~50代で片平なぎさ演じるマリコのモノマネをしたことがある人は半数以上では?)  ドラマを観ていない人は、予告で見る彼女の見た目のインパクトだけが話題になっていると思っていますが、本当におかしいのは実は演技プラン。何しろしゃべり方がものすごく変です。  太く冷淡な声でダルそうに口からダラダラこぼす「〇〇さんは、きません~~~~~~~~~~~~~」といった口調は、実に腹立たしくおかしく、イラッとしながら爆笑させられます。  発声方法・口調だけで笑いをとれるのは、もはやコント師。  田中みな実は『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系列)で女優として注目され、『ルパンの娘』(フジテレビ系列)でも良い味を出していましたが、テレ朝放送の本作をきっかけに、近い将来、ニチアサ戦隊モノ(テレビ朝日系列で放送されていた子供向け特撮ヒーロー番組のこと。放送時間帯にちなんで付けられた愛称)の女幹部など演じることになる気がしています。

『M』は懐かしの大映ドラマの世界そのもの

 冬ドラマのTBS日曜劇場『テセウスの船』が制作に大映ドラマスタッフが加わっていることもあり、「往年の大映ドラマを彷彿とさせる作品」として好評でしたが、この『M 愛すべき人がいて』(以下『M』)もまさに大映ドラマの世界そのもの。
(画像:『テセウスの船』TBS公式サイトより)

(画像:『テセウスの船』TBS公式サイトより)

 大映ドラマといえば、1980年代に放送された『スチュワーデス物語』『不良少女と呼ばれて』『スクール☆ウォーズ』(すべてTBS系)『ヤヌスの鏡』(フジテレビ系)などに代表されるように「運命に翻弄される主人公」「大げさでくさいセリフ回しと演技」「荒唐無稽な展開」「出生の秘密」などが特徴のドラマです。  ツッコミどころだらけの展開の中、登場人物たちは真剣そのものである面白さが、当時からパロディにされたり、たびたびコントのネタにされたりしてきました。一般の人々でもリアルタイムだった世代は、モノマネしたことがある人も多いはず。
「大映テレビ主題歌コレクション~フジテレビ編」キングレコード

「大映テレビ主題歌コレクション~フジテレビ編」キングレコード

『M』は大映ドラマテイストだった『奪い愛、夏』(AbemaTV)と同じく鈴木おさむ脚本であることから相当狙ってくるだろうとは予想できましたが、海辺にたたずむ主人公がカメラ目線で「あの日も海を見ていたな」と棒読みでつぶやく冒頭30秒程度のシーンだけで、予想を大きく上回るチープさ、滑稽さにより、爆笑を誘ってきました。  この衝撃のダサさに、冒頭だけで脱落してしまった視聴者も少なからずいた一方で、暇人&物好きたちのハートをギュッとわしづかみ。このひと笑いだけで継続視聴を瞬時に決意した人も多数いたでしょう(私もその一人)。
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水野美紀は最強のコメディエンヌ
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