3. 変わらないことに安心を
そして最後、「変わらないことを大切にする」と武田さんは言います。
「誰にとっても変化はストレスになりますが、繊細さんはとくに変化に慣れるまでに時間がかかります。
変化にさらさられたときこそ、変わらないことを生活の中で見つけることが大切です。いつもと変わらないというのは『安心』を与えてくれます。その安心を支えに少しずつ変化に慣れていくことが大切です」
外の世界はガヤガヤしていたとしても、日常が変わったとしても、変わらないことは必ずあるはず。お掃除や洗濯をしたあとのスッキリ気分、朝のコーヒーでのリラックスなど、なんでもいい。
毎日のルーティンは心を落ちつかせるきっかけになります。
「本来、幸せというのは、外が晴れていて気持ちがいいなとか、花がきれいだとか、ちょっとした人とのやりとりがうれしいとか、そういう日常の中にあるものですよね。繊細さんはそうした日常の中の小さな喜びを見つけるのがとても上手。変わらないことや毎日のちょっとしたうれしいことに意識を向けていきましょう」
緊急事態宣言が解除されても、私たちは新型コロナウイルス“前”に戻れるわけではないでしょう。この先、社会全体が変わっていくとなると、武田さんの指摘する「変わらないものの安心感を支えに変化に慣れる」というのは、有効なライフハックになりそうです。
教えていただいた3つの対処法は、「どこに意識を向けるのかを自分で選ぶ」という点で共通します。
「見通しがつきにくい時期だからこそ、状況がどうなるか? にフォーカスすると動きにくくなります。難しいかもしれませんが、どうなるのか? よりも、今日、どう過ごすのか? 自分はどうしたいのかな? と、自分の行動に意識を向けられるといいですよね。どうしても外に意識が引っ張られるけれど、
大きな外の世界よりは自分の半径50メートル。まずは自分がいるところの現実を見る。自分と、自分の大切な人たちの幸せを守るために、できることからやるのがいいと思います」
そして、武田さんは「とにかく、自分のケアを最優先に」といいます。
「
単純なことですが、愚痴をいえるといいと思います。『もう、やだ!』と言えると楽になる。繊細さんって弱音をはいてはいけない、相手をいやな気持ちにさせるから愚痴はいわないなど、自分を律してしまいがちですが、感情を言葉にすることは大事です。
あと、自分がいま、どうしたいのかを感じ取ること。『人との接触が少なくなっているいまがちょうどいい』という方はそのままでいいのですが、『もう少し人と話したい』と思う方は、繊細さんのオンラインのお話し会に参加してみるのもいいと思います。人が足りていないのか、それとも十分なのか。自分が何を求めているのかを把握して、ケアをしてくださいね」
【武田友紀(HSP専門カウンセラー)】
1983年福岡県生まれ。九州大学工学部機械航空工学科卒業後、メーカーでの研究開発を経て独立。フリーのカウンセラーとして個人向けの人間関係カウンセリングや適職診断を行う。これまで、700名以上の繊細さんをカウンセリング、イベントなどを通じて関わった人は1300人超。『
「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』(飛鳥新社)、『「繊細さん」が自分のままで生きる本』(清流出版)に続き、4月に『
今日も明日も「いいこと」がみつかる 「繊細さん」の幸せリスト』(ダイヤモンド社)が刊行。
公式ホームページ「
繊細の森」
<取材・文/鈴木靖子>