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中丸雄一、カズレーザー、バカリズムが家事に挑む 『家事ヤロウ!!!』人気の秘密

バカリズム、カズレーザー、中丸雄一の忖度なき化学反応

 さらに、忘れてはいけないのが、バカリズム、カズレーザー、中丸雄一という不可思議かつ絶妙な3人の組み合わせである。  芸人二人と、アイドル一人。なぜこの組み合わせになったのかは謎だが、おそらく企画段階でイメージしていたよりも、実際にはさらに奇妙な化学変化が起きているのではないだろうか。
 最近では、バカリズムとカズレーザーによる“中丸イジリ”がお約束化し、定番となっていることで、「さすがに中丸くんがかわいそう」などという指摘も、ネットの一部では見られる。しかし、バラエティ番組での「ジャニーズ+芸人」の組み合わせでは、芸人が司会を務めてジャニーズをオイシくしたり、ツッコんだり、話題をふったりと大忙しで、ジャニーズの番組なのにジャニーズが「お客様」ポジションになってしまうこともあるなかで、この“イジり”もまた番組の柔軟さを象徴していると言える(『スクール革命』のように、その垣根なく団体芸が練り上げられたケースももちろんあるが)。  バカリズムとカズレーザーに、中丸への遠慮・配慮・忖度はまったくない。なさすぎるほど、フラットな扱いであるために、先述のような「かわいそう」といった声もあるのだろうが、芸人たちとそこまでフラットな関係性を築けるのは、タレントとしての強みにほかならない。  さらに、この3人に共通しているのは、見事なまでに率直であること。遠慮・配慮・忖度のなさは、レシピやアイテムに対しても同様で、美味しいモノは美味しいと言うし、物足りないモノには作り手やメーカーへの配慮ナシで平気で何かを追加して「味変」してしまったりする。便利アイテムも気に入れば「買う!」と言うし、売れ筋アイテムであっても、その値段を聞くと「たっけ~!」と叫ぶ。  3人の感想が実に正直だからこそ、視聴者は安心して観られる。ついでにこの3人、それぞれの中に大雑把さと細かさが同居していて、こだわりや「マイルール」が強い。  だからこそ、表面的な「協調」はしない。しかし、こだわりやマイルールの「強要」もしない。協調も強要もない世界は、何だかとても自由で楽しそうだ。

「フラットな3人」だからこそリモート撮影とも好相性

 ちなみに、MCとゲストという構図ではなく、3人が同等でフラットな立ち位置にある強みは、コロナ自粛禍でのリモート撮影とも好相性であることが、5月20日放送分で実感された。
『便利家電 開封ヤロウ』と題し、話題の家電を片っ端からお取り寄せして開けまくる企画。ここでは、3人がそれぞれ自分の家に届いたアイテムを使ってみて、順番にプレゼン&レビュー、3人で値段を予想するのだが、MCのみがスタジオに行って、リモートで芸能人の家とつなぐ多くのバラエティ番組と違い、特定の人物の負担もなければ、不自由さもまるでない。  むしろ家にいることで、ますます自由にも見える。  男3人がエプロン姿で真剣に家事に取り組み、それをてらいなく本気で楽しんでいる姿は、視聴者側にとっても実に楽しい。さらにそれをスタジオやロケでやらなくても良いという自由度も、良い。 「家事は女がすべきもの」という昔ながらの固定観念を、声高に否定するのではなく、戦うわけでもなく、あくまでユルく、楽しく、覆してみせる。昨今のフェミニズムの機運の高まりにも合致した、新しさとユルさ・自由さは、今の空気に最も合っている番組ではないだろうか。 <文/田幸和歌子>
田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon
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