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木村花さん急逝で考える、ネットで中傷された時「真っ先にすべき事」とは

ツイッターなどは「書かれたらすぐに動く!」という感覚で

 書き込みを見つけたら、自分で違反報告したり、ネットに詳しそうな知り合いに相談したりして、それでも改善しない場合に弁護士に相談しようと決断するのが一般的かもしれません。  でも、弁護士さんは敷居が高いと相談に行くにも何日も悩んでいたり、逆に、何軒も法律事務所をめぐって弁護士を選んでいると(これ自体は悪いことではないけれど)、そうしている間に、書き込みがされてから1週間、2週間と時間が過ぎてしまいます。 ネットでの中傷「弁護士に相談したらすぐに申し立てができるわけではありません。相談のうえ、弁護士と契約して着手金を支払う必要があります。また、依頼したあとに、あれこれと証拠の提出を求められることが普通です。通常、証拠は事件の当事者である依頼者が持っていますので、依頼者が証拠を探して弁護士に提出しなければなりません。これも気を抜いていると、1、2週間はあっという間に過ぎてしまうんです」  しかも、まだまだすべきことがあるそうで、証拠が集まったら、今度は弁護士さんが申立書の案文を作成し、依頼者が確認してOKが出たら裁判所に提出する用に各書類を準備して、裁判所に出向き、窓口で提出して……ようやく手続きの軌道にのるのだそう。 「このようなことも踏まえると、ツイッターなどは、書かれたらすぐに動く! くらいの感覚でいないと失敗の可能性が高まります」  そうです。SNS上の裁判は「時間との勝負」なのです!

“正義感”が権利を侵害することもある

 ちょっと難しかったかもしれませんが、被害者になってしまったときの対応は、よくわかったのではないでしょうか。加えて、SNSを利用する人がこころしておくべきことは、自分が加害者にならない、誹謗中傷や悪意ある書き込みはしないということです。 SNS「そんなことしない!」と思うかもしれませんが、小沢弁護士が担当した常磐道のあおり事件でデマを拡散したのは、悪いヤツらを懲らしめなくてはという“正義感”から「リツイート」をした人たちでした。 「『これくらい』『みんなやっているから』『自分にまでは責任が来ないだろう』という気持ちが生じるのでしょう。しかし、みんなやってるからといって、責任が希釈されるわけではありません。はたから見たら『これくらい』というものでも、書かれた方は苦しんでギリギリの状態で相談にきます。  書き込む側は自分一人くらいと思うかもしれませんが、被害者はそのひとりひとりからの攻撃をまとめて背負うことになります。また、匿名の人から攻撃されると、周りの人が信じられなくなり、外出中もどこかで見られているのではないかと感じてしまうため、常に精神的な負担を負い続けることになります。これが続くとどういう結果を招くのか、一人ひとりが想像力を働かせてほしいと思います」 【弁護士 小沢一仁】 インテグラル法律事務所所属。離婚事件、破産など個人に関する事件から著作権法・商標法等知的財産権をはじめ、様々な分野の法人に関する事件、暴力団対策に関する事件など幅広い案件を担当。インターネットにおける誹謗中傷に関する事件は、SNSが広まる前のインターネット掲示板が主流だったころから精力的に取り組んでいる。 <取材・文/鈴木靖子>
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