「子どもはもう小さくならない」思い切ってすべて処分!

しかし、加奈子さんの中にも葛藤があったそうです。
「実は、大変だとわかっていても、どこかで2人目が欲しい気持ちも諦められなくて……。娘が生まれてから、一度も服や育児グッズを捨てずに、ほぼすべてとっておいていたんです。ベビーカーも、新生児が乗せられるタイプと、軽量タイプの2台ともとっておいてあります。
つい最近まで座っていた離乳食用のテーブルが付いた椅子、電池が切れて音が鳴らないアンパンマンカー、お宮参りのお包み、一升餅をくるんだ風呂敷、ブランド物のポロシャツ、ジャンプスーツ、ファーストシューズ……。全部思い出があり、下の子が使えるかもという思いもあり捨てられずにいました」
しかし、このままでは家にモノが溢れるばかり。一念発起し、すべてメルカリや子供が生まれた友人にプレゼントをしたり、捨てて処分したそうです。
「最初は、お小遣い稼ぎのためにメルカリでサイズアウトしたブランド物の服だけ売ったんです。そしたら意外と高く売れて。一度、手放してみたら意外と未練がなくなりました。『子どもはもう小さくならない』と自分に言い聞かせて、どんどん処分をしていきました」

メルカリで売れた子ども服。子ども服はすぐにサイズアウトしてしまうため、フリマアプリで購入する親も多い
一度決意すると、一気に進むのがモノの処分。子ども服や育児グッズを手放したことで、心境の変化はあったのでしょうか。
「赤ちゃん時代のものや、服を処分したら、不思議と2人目への未練もなくなったんです。自分が子どもを欲しいという気持ちではなく、夫や夫の実家に対して気を使っていたんだなってわかったんです。
ビニール袋に無造作に入れていた子ども服がなくなった分、スペースができて、仕事がしやすくなりました。気分的にも、仕事を頑張ろうと前向きになって、自分からもイラストの営業をするようになりました。今は、仕事を増やして、子どもも預ける決意もできたので来年度の保活を始めています」
よく片付けの効果に「人生が激変する」なんてうたい文句が書かれていることがありますが、あながち嘘ではないようです。
女性にとって、結婚、出産というライフステージによる環境の変化は大きいですが「自分が本当はどうしたいか?」が、片付けによって見つかることもあるようです。
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私が「手放して」よかったもの―
<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子>