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米津玄師「感電」が1位独占、なぜこんなに次々と売れるのか

 綾野剛(38)と星野源(39)のダブル主演が話題のドラマ『MIU404』(TBS)。米津玄師(29)が歌う主題歌「感電」も、大ヒットの兆しを見せています。  7月6日に先行配信リリースされると、ほとんどの配信デイリーチャートで1位になり、30冠を達成しました。さらに10日にMVが公開されるや、早くも980万回再生超え(7月14日時点)を記録し、2020年も米津イヤーになりそうです。

気鋭の作曲家・坂東祐大とのコラボが続く

 ここのところ、続けてTBSドラマの主題歌からヒットを飛ばしている米津玄師。「Lemon」(『アンナチュラル』)、「馬と鹿」(『ノーサイド・ゲーム』)と、ミディアムテンポのバラードが続きましたが、ガラッとイメチェン。なまめかしいホーンセクションが特徴的なファンクナンバーで、今度の米津は“チョイ不良”といったイメージです。  ハネているかいないかの絶妙な間で刻むリズムには、静かな緊張感が漂っていて、プリンスの「Let it go」という曲を思い出しました。でも、サビになるとWANDSの「時の扉」を彷彿とさせるあたり、いい意味でバタ臭くもある。不思議な曲です。  ともあれ、繊細で感傷的な気分を呼び起こす弦楽器のアレンジメントから一変、猥雑なサウンドメイキングに、驚いたファンもいるのではないでしょうか?
米津玄師 STRAY SHEEP

8/5にリリースされる米津玄師のニューアルバム『STRAY SHEEP』(SME)。「感電」も収録

 今回も共同アレンジャーとして名を連ねるのは、現代音楽の俊英、坂東祐大(ばんどう・ゆうた、29)。「海の幽霊」、「パプリカ 米津玄師バージョン」、「馬と鹿」に続くコラボレーションになりました。新曲のたびにリスナーの期待に応えつつ新機軸を打ち出す作業は、並大抵のプレッシャーではないはず。  米津氏と坂東氏、それぞれのアイデアの比率はどれぐらいなのだろう? なんて下世話なことも考えてしまいますが、そこは秘伝の味ゆえ、企業秘密なのでしょう。

まだ29歳なのに職人のような真面目さ

 さて、先ほど“チョイ不良”と形容した「感電」ではありますが、それでも生真面目な職人気質は健在です。演奏やアレンジにおいては、それまでになかったルーズさやラフさを感じる一方、リズミカルで達者な節回しと哀愁漂うマイナーコードの展開には、紛れもなく“米津印”が刻まれている。  このアレンジのまま「Lemon」を歌っても違和感がないぐらい、楽曲の土台は不変なのですね。アレンジにはハッとしても、何回か聞けば安心できると言えばよいでしょうか。  29歳にして熟練の職人のような型を持っているなんて、驚くべきことです。それは、ソングライターにとっての“のれん”ですから、その味を求める客が確実にいることを意味します。そういう技術に裏打ちされた仕事に裏切られる確率は、極めて低いということですね。
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