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コロナ不況で「女性の貧困」が進む。パートや派遣にしわ寄せが

 コロナ禍で過去最悪の状況となりつつある「女性の貧困問題」。従来からの当事者はもちろん、貧困とは無縁だったはずの女性たちも窮乏に陥っている。本企画ではコロナ禍で経済的危機に瀕している女性たちに密着取材を敢行。彼女たちの切実な胸の内に迫った――。
コロナ

※写真はイメージです

コロナ禍で、非正規女性がますます貧困に

 コロナ不況は、女性の貧困にどんな未来をもたらすのか。『新型コロナと貧困女子』著者・中村淳彦氏、『ルポ貧困女子』著書・飯島裕子氏、貧困の現場を数多く取材してきたノンフィクションライターの2人がリモートで対談した。 中村:もともとコロナ禍以前から女性が供給過多で「稼げる仕事」でなくなっていた風俗業ですが、コロナ禍でセーフティネットとしての機能を失いつつあります。これからは客を自分で呼べる風俗嬢しか生き残れない。風俗業界内での格差も大きくなりそうです。 飯島:もともと賃金や待遇に大きな開きのあった正規と非正規の格差が更に広がったように感じています。例えば正社員は在宅勤務なのに派遣社員には認めず、緊急事態宣言下でも出社させられたり、休業補償は出せないから有給を消化しろと言われたり。
中村淳彦氏

中村淳彦氏

中村:これまで放置されてきた「女性の貧困」が、コロナでより顕在化した印象もあります。 飯島:そうですね。コロナ禍中の雇用などに関する相談も来るのは6、7割が女性と聞いています。

地方の実家に帰りたくても、コロナで「帰ってくるな」

中村:ルポの事例を読んでも思うけど、女性は真面目なので何事も自分で抱え込んで貧困に陥りやすい。彼氏や親族に背負わされた借金を地道に返したり、行政に相談に行っても追い返されたらすぐに諦めたりしてしまう。 飯島:無理しないで実家に帰れば? と言う人もいますが、虐待や毒親の問題を抱えていることもある。それにコロナだと実家に高齢者がいて、帰るなと言われた人も多かったはずです。 中村:特に地方は今でも男尊女卑の傾向が強いですね。 飯島:現代においても男性が大黒柱で女性のメインは家事育児、働いても家計補助に過ぎないという役割意識は根強く、これが非正規の低待遇や低賃金に結びついています。実際は男性雇用も限界で、共稼ぎでなければ稼げない世帯も多く、シングルマザー含め女性の世帯主が非常に増えているわけですが……。
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とにかく役所に相談してみて
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