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コロナ不況で「女性の貧困」が進む。パートや派遣にしわ寄せが

役所に行って、どんどん支援制度を活用してほしい

中村:今回、かなり意外だったのはコロナ禍で行政がさまざまな支援制度を打ち出したこと。コロナ以前の政府は新自由主義の傾向にあったので、社会的弱者は軽々と見捨てると思っていた。コロナ禍では国民の訴えが届いているように感じましたね。
飯島裕子氏

飯島裕子氏

飯島:どうでしょう、私は単に弱った政権が流されているだけにも見えましたが……。 中村:そういう見方もありますか。 飯島:でも、支援制度の認知が高まり、利用者が増えれば自己責任論から脱する機会にもなります。 中村:自分から動いて、もらえるものはもらうべきですよね。 飯島:はい、どんどん制度を活用して欲しい。特に若者は役所に行くという発想があまりない。行政のほうから積極的な活用を促してほしいところです。

テレワークできない仕事は女性が多い

中村:コロナ禍で社会保障に関しては「大きな政府」になりつつありますが、コロナ収束後については不透明ですね。 飯島:労働市場では格差が広がると思います。テレワークも、できる仕事とそうでない仕事がある。コロナ禍では例えばスーパーの店員や介護職などが“エッセンシャルワーカー”として注目されました。多くは女性非正規ですが、リップサービスだけで賃金や労働環境は何一つ変わりませんでした。 中村:確かにそうした業種の労働環境は改善されていくべきです。ただ、労働市場の新自由主義の流れは止められない。コロナ禍でも稼げる風俗嬢が客を自分で引っ張り生き残ったように、介護職やサービス業も個人単位で仕事や顧客を開拓していく強さが求められると思います。 飯島:にわかに同意はできませんが、善かれあしかれコロナ禍を機会に働き方が大きく変わっていくでしょう。そのなかで誰が脆弱な立場に追い込まれるのか見極め、フォローしていくことが国に求められると思います。 【中村淳彦氏】 ノンフィクションライター。貧困や介護、風俗などの社会問題を取材。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書) 【飯島裕子氏】 ノンフィクションライター。『ビッグイシュー』等で執筆し、大学講師を務める。著書に『ルポ貧困女子』(岩波新書) ―「コロナ貧困女性」号泣ルポ― <取材・文/週刊SPA!編集部、小野田衛、ツマミ具依、高島昌俊、吉岡俊>
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