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「田中みな実を一番面白く見せる」が原点『あざとくて何が悪いの?』Pが語る

狭くて深い興味からこそ熱狂が生まれる

 一方、こちらも芦田氏が企画から手がける人気番組『あいつ今何してる?』は放送5年目に突入。“芸能人が会いたい同級生の現在”を追うドキュメントバラエティだが、視聴者にとってはいわば“見知らぬ一般人の映像”を見せられることになり、興味を引くのは難しいはず。だが、ここでも彼は視聴者の共感を引き出すことに成功している。
テレビ朝日プロデューサー・芦田太郎氏

芦田太郎氏 撮影/堀内彩香

「通常、VTR中のスタジオ出演者のリアクションを抜く“ワイプ”は、画面の隅にときどき小さく表示されるもの。でも『あいつ今~』では、画面の3分の1を使って常にゲスト芸能人の顔を映し続けています。同級生を追ったVTRにゲストが一喜一憂するリアクションを二面で見せることで、視聴者は見ず知らずの一般の方の人生にも興味や共感を抱くことができるわけです。『あいつ今~』も『あざとくて~』も、企画段階で上司から『(扱う題材やターゲットが)狭すぎる』とさんざん指摘された。でも、ある種『タモリ倶楽部』的な、“狭くて深い興味”からこそ熱狂は生まれると思うんです。まずは自分の感性と勝負して、自分が面白いと思えるものをつくらないと」

“テレビにしかできないこと”とは?

“狭くて深い”ところから新たな共感を掘り起こし、広い熱狂を生み出すのが芦田氏のヒットの方程式。だが、「自分が面白いと思うこと」と「マスにわかりやすく伝えること」との間に乖離を感じることはないのだろうか。 「『あざとくて~』に関しては、そのジレンマはありません。23時台は20~30代がメインターゲットで自分と重なるので、僕が100%面白いと思うものを発信してダメだったらそれは僕のセンスがなかっただけ。ただ、『あいつ今~』を放送している19時台のゴールデンタイムって、親が小学生の子どもと見られる番組を考えないといけない。実はすごく特殊な時間帯だと思うんです。“子どもと安心して見られる”とか“見ていて誰も傷つかない”ってどういうことなのか、独身の自分にはリアリティがないところもあるので、そこは意識して周囲の家族持ちのスタッフに聞いたりしていますね」  動画配信サービスやYouTubeなど、競合メディアがたくさんある現在、芦田氏は“テレビにしかできないこと”をどう考えているのだろう。 「YouTubeは検索して主体的に情報を得ないとそこにたどり着けないですが、テレビはつけていれば勝手に情報が流れ込んでくるのが大きな違い。僕は、卒業式で先生にサプライズを仕掛けて唖然とさせるみたいなことが大好きだったんですが、今もその舞台を大きくして同じことがしたいだけなのかもしれない。テレビってよくも悪くも“今を切り取っている”だけ。でも、その即時対応できる刹那的なところこそ、テレビの価値だと思うんですよね」 【芦田太郎】 ’85年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。’08年、テレビ朝日に入社し、主にバラエティ番組を制作する総合編成局第1制作部に所属。『関ジャニの仕分け∞』『関ジャム完全燃SHOW』などでディレクターを務めたのち、現在は『あいつ今何してる?』『探シタラTV』『あざとくて何が悪いの?』の演出・プロデューサーを務める <取材・文/小西 麗>
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あざとくて何が悪いの?
7月25日(土)23:15~(一部地域を除く)テレビ朝日系でオンエア
前回に続きSPゲストとして千葉雄大が参戦。再現ドラマに島崎遥香・中村ゆりかが出演するなど、さらに充実した布陣と企画であざとさを炸裂させる
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