話を聞くと、どうもコロナ禍でzoomを覚えた夫は、やたらと部下の彼女に「オンラインミーティングしよう」と誘い「今日はちょっと胸のあいたセクシーな服だね」や「彼氏もその部屋でくつろいでるんだ?いいな~」など仕事とは関係ないセクハラめいた事を言ってくるので困っていると訴えかけてきました。
「その間、何度もKが言い訳したり、回線を切ろうとしてきましたが…力ずくで食い止め、彼女の話を聞きました。彼女が嘘をついているようには、どうしても見えなかったので」
そして彼女が「奥さん、私は不倫相手ではないし、私から誘った事など一度もありません。ただセクハラされてただけなんです。助けてください!今までのオンラインミーティング全部録画してあるので見てください」と言うと、夫は「やめてくれー!」と泣き崩れてしまったそう。
「その姿を見て“あぁ、こいつはリモハラ野郎なんだ”と確信しました。彼女にとりあえず『私はあなたの言った事を信じます。その録画は消さずにとっておいてね』と言い、Kと話し合いました」
すると、Kさんは、全くリモハラしているつもりは無く「相思相愛だと思っていた」と言ってきたそう。
最近、在宅業務中のセクハラやパワハラが世の中全般で増えており、リモートハラスメントと言われています。オンライン会議のためカメラで相手の生活が見えることで、公私混同して距離感をはき違えるのは、その典型の一つです。
「はぁ?なに言ってるか分かってるのって、そこからさらに喧嘩になりましたね。私も昔、上司にセクハラされた事がありますが…まさか自分の夫がリモハラなんて」

とにかく、もう絶対に不必要なオンラインミーティングに部下を誘わない、仕事以外の話はしないとKさんに約束させた繭子さん。
「もちろん『私に助けを求めた彼女を絶対に責めるな』とも言っておきましたが…私もかなりのダメージを受けてしまい、つい焼肉弁当2つとも食べてしまいました」
離婚を視野に入れつつ、自分の今後の人生をよく考えるようになった
それから夫と暮らすのが苦痛に感じるようになってしまった繭子さん。
「リモハラ事件ですっかりKにあきれてしまったし…あと、母親のようにKの性格を辛抱強く正してあげよう、みたいな愛情もない事に気づいてしまって」
「離婚を視野に入れつつ、自分の今後の人生についてよく考えるようになりましたね」とため息をつく繭子さんなのでした。
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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