とりあえず、すぐに起きて部屋の明かりをつけましたが、ベッドの下の様子が気になって仕方なかったとか。もし本当に誰かが潜んでいたらと恐怖におののきながらも、意を決してベッドの下をのぞき込んだといいます。
「そしたら身体の大きな男性がいて、私とちょうど目が合ったんです!それで本当に恐怖というか驚いてしまって、大きな叫び声を挙げてしまったんです」
すると、「ちょ、ちょっと待って! お、俺だよ!」と聞き覚えのある声。なんとベッドの下に隠れていたのは、美香さんが当時付き合っていた大学の同級生だったのでした。
合鍵を渡されていたので普段から自由に出入りすることができたとか。休講になって家に帰ると聞いていたため、「先回りしてちょっと驚かしてやろうと思った」と言うのです。
「本当にあきれました。このとき、私はあまりの恐怖で腰が抜けてしまい、立って逃げることすらできませんでした。彼氏だからよかったですが、仮にこれが本物の変質者だったらと想像したらゾッとします」

ところが、話はこれだけでは終わりませんした。しばらくして自宅のインタホーンが鳴り、出てみるとなんと警察官。実は、叫び声を聞いた近所の人が通報していたのです。
「ちょうど彼氏を説教しているときに来たのですが、事情を説明するとお巡りさんからも『それはやりすぎ』と叱られてシュンとしていました」
彼氏は後で事情を知った大学の友人たちからも「いくら自分の彼女でもそれはない」と責められて針のむしろ。美香さんも「もし今度ドッキリを再び仕掛けたら次はないから」とそのときは別れると宣言したそうです。
「さすがに懲りたのか付き合っている間は二度と仕掛けてくることはありませんでしたが、しばらく部屋の明かりを消して寝ることができなくなってしまって。人を喜ばすサプライズならいいですけど、テレビのバラエティー番組じゃないんだし、怖がらせるようなドッキリは絶対やめてほしいです」
仕掛ける側は深く考えずに面白がってやるのかもしれませんが、絶対にやめてほしいものですね。
―シリーズ「
怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/トシタカマサ イラスト/カツオ>
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。