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安倍総理の持病・潰瘍性大腸炎。患者が語る「ナイフで切られるような痛みと苦闘」

ナイフで内臓を切られるような痛み。夜間救急にかけこんだ社会人1年目

救急病院、救急車

写真はイメージです

「これまでにない強い痛みに突然襲われました。言い表すならば、カッターナイフでおなかの中を刺されているような感覚。皮膚を切り裂くようなギリギリとした痛みが止まらず、夜間救急病院にかけこみました。呼吸もできなくなるような鋭い痛みで、このときに初めて『もしかしたら大変な病気なのかも』と不安がよぎりましたね」  経験したことのない痛みに苦しむ西原さんに、医師は潰瘍性大腸炎の可能性を説明。潰瘍性大腸炎を確定診断するために必要となる①血性下痢を引き起こす感染症との区別②X線、内視鏡検査③大腸粘膜採取などを実施し、慎重に病理診断を進めていったのです。 「確定診断のための検査は本当に辛かったですね。2Lの下剤を飲んで便をすべて出し切ったあとにカメラを入れて大腸カメラを、1週間後には胃を空っぽにした状態で胃カメラをしました。その期間は仕事を休まなければならなかったので、それに対する焦りもあって……。『どうか違っていてくれ』と心底願っていました」  けれども、西原さんの願いはかなわず、救急病院にかかった数週間後に潰瘍性大腸炎であると正式に診断が下りました。飲み薬やステロイド剤の効果も乏しく、入院したその日から腸の炎症を抑えるため、生物学的製剤ヒュミラ薬の注射が始まったのです。

「ハズレくじ引いたなぁ…」現実を直視できず、ふさぎ込んだ日々

 炎症がある程度収まった西原さんは職場に復帰。しかし、前と同じようなモチベーションで仕事と向き合えなくなっていたと語ります。 「最初の頃は若くして大きな病気にかかった自分を受け入れられなくて、“ハズレくじ引いたなぁ”と悲観していました。鬱のような症状も出て、今後の自分の人生を考えては不安になる日々でしたね。  薬でコントロールして生活できている人も多いですが、当時は小腸・大腸の切除手術や人工肛門など、重い症状についてばかり調べていました。『仕事中におなかが痛くなったらどうしよう』という不安もあり、ごはんもきちんと食べられていませんでした」
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「何十年も付き合う病気なので…」
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