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『MIU404』が終わった今、もう一度観たい『アンナチュラル』

第7話『殺人遊戯』いじめ問題に切り込む

 第7話では、自殺した友人への“イジメ”への事実の告発とともに「生存者の罪悪感」を見つめました第7話『殺人遊戯』いじめ問題に切り込む ミコトのスマートフォンに、塾講師の弟・秋彦(小笠原海)の生徒・白井一馬(望月歩)からURLの貼られたメッセージが届きます。アクセスすると、白井が「殺人者S」を名乗って、動画配信サイトで「殺人実況中継」をしていました。クラスメイトの「Y」を殺したというSは、Yの遺体を映します。そしてミコトに「Y君の死因はなんでしょう。答えを間違ったら、もう1人殺します」と挑戦状を叩きつけます。 『MIU404』でもネット社会の今を切り取り、視聴者に恐怖まで感じさせた野木さんの脚本ですが、本作でもネットの力を見せつけます。やがて、導き出された死因を、ミコトはネット中継を続けるSに伝えます。刺し傷の痕から「死因は刃物による自殺」だと。ここからミコトがSに語った言葉が深く刺さります。「法医学的には自殺。でも私は殺されたのだと思う。法律では裁けないイジメという名の殺人だ」と。

胸を打つ数々のセリフが誕生

を打つ数々のセリフが誕生 白井は同じくイジメを受けていた自分を助けてくれたYを救えなかったと、視聴者を前に「僕は僕を殺す」と顔を晒し、本名を名乗り、イジメをしていた生徒の名前を明かして自らの首にナイフを立てます。緊迫した状況に、ミコトは「あなたが死んで何になるの? 彼らはきっと名前を変えて新しい人生を生きていく。あなたが命を差し出しても、あなたの声は彼らに届かない。それでも死ぬの? あなたの人生は、あなたのものだよ」と伝えます。  死んでも復讐にはならない。相手は傷つくこともなく、あなたを覚えていることもなく、のうのうと生きていくのだという言葉にハッとさせられた人は多いはず。冷たいようでいて、紛れもない現実。そして「あなたの人生はあなたのものだ」というのもまた事実です。  一方、中堂、六郎、東海林は血痕をたどりSがこもる廃マンションを見つけ、「僕だけ生きてて良いのかな」と涙を流す白井に、中堂は「許されるように生きろ」と諭します。大切な人が亡くなり、自分だけが残されるというのは、中堂もまた同じ。「生存者の罪悪感」というのも、『アンナチュラル』が扱った大きなテーマのひとつです。  野木さんの言葉が響くのは、私たちを傍観者にしないため。特にこのイジメの問題は、された者、した者、そして見て見ぬふりをした者、気づかなかった者、すべての人が当事者なのです。
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『MIU404』にも通じる10話
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