松本まりか「愛人」を熱唱。“令和の愛人女優”が似合う36歳になるまで
「愛人」が「雰囲気、合う」と言われてしまう松本まりか(36)。
松本まりか、絶好調。一時期、“愛人”といえば、壇蜜、橋本マナミの顔が浮かんだものだが、ふたりとも結婚してイメージ刷新した今、空いた座席は松本まりかのもの。プライムタイムの歌番組で、カラオケにおけるオンナの勝負曲のひとつ「愛人」を選曲したことは、令和の愛人女優を宣言したと言っていいのではないだろうか。それが高らかな宣言でなく、あくまでも控えめであるところが「愛人」が「雰囲気、合う」と言われてしまう松本まりかの魅力でもある。
インスタの料理動画では、おくれ毛、鼻をかむ姿、エクボ、ウィスパーボイス……ひとつひとつが儚(はかな)いのになぜか強烈な色っぽさ。この人が料理作って待っている家に行きたくなる。そして行ったら最後、すがられる、そんなめくるめく妄想がわいてくる。
デビューは2000年、地道にドラマ、映画、舞台と活動し、注目されたのは2018年。連ドラ『ホリディラブ』(テレビ朝日系)の不倫妻役で注目された。子供もいるのに夫以外の男性に溺れていくオンナの本能を体当たりで演じて、かわいいだけではないところを印象づけた。
2020年はとりわけ当たり年。週刊「プレイボーイ」のグラビアから歌番組まで露出多め。目下、連ドラを2本掛け持ちしている。『竜の道』(フジテレビ系 9月15日で最終回)では主人公(高橋一生)の恋人にして仇(かたき)の娘でもある役を演じ、『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)ではお岩さん役。
前者は父親が企業の社長でお金に困らず高慢なところもあるが、家庭の事情から孤独を感じている役で、強さの裏の弱さの演技が鮮やかで、この華奢なカラダも心も守ってあげたいとほだされてしまいそう。後者はお岩さん。問答無用に、夫に浮気され毒を盛られて殺される悲劇の女の象徴的存在である。そして、どちらの役も、ヒロインの相談相手のお姉さん的存在も引き受けている。
9月12日(土)に松本まりかは音楽番組「THE MUSIC DAY」(日本テレビ)に出てテレサ・テンの「愛人」を披露した。傍らで聞いていた指原莉乃は「雰囲気合ってましたね」、SHELLYは「色っぽかったー」と称賛していたが、松本自身はインスタに「自分の人生で人様の前で歌うなんて、思ってもみなかった」と歌に対する苦手意識を綴(つづ)っている。確かにその歌い方は、初めてテレビで歌う緊張が手にとるように感じられるものだった。守ってあげたい! 特徴的なハスキーボイスがますますかすれ気味でか弱く、いまにも消えてしまいそうで、片手を胸にそっと抑えているところも懸命に映る。見ていてものすごくはらはらするけれど、この堂々と歌っていないところがまた魅惑的だった。今をときめく女優だからこその歌番組出演。Twitterのトレンドにもたちまちイン。
令和の愛人女優を宣言したかのような
人間、節目というものがあり、かわいさや初心さを武器にできる第1形態から、違う武器を手にする第2形態に進化する時期が必ずくる。松本まりかはアラフォーの手前でその通過儀礼にみごとに成功したのである。