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松本まりか「愛人」を熱唱。“令和の愛人女優”が似合う36歳になるまで

2006年の朝ドラ『純情きらり』甘めな声で辛めな役をやり良いバランス

 松本まりかの第1形態は、現在再放送中(28日まで大相撲で休止)の朝ドラ『純情きらり』(06年 NHK総合)で見ることができる。主人公(宮崎あおい)の友人役という、これも俳優のひとつの登竜門で、デビュー6年目の彼女はいいポジションにいた。  兄が出征するときに「君死にたもうことなかれ」と書いた手ぬぐいを掲げて軍に咎(とが)められるが、のちに戦争が進行してくると国のために働こうとするという、なかなか考えさせられる役割をきりっと演じていた。  良くも悪くも声が特徴的過ぎることはデビューからずっと認識されていて、この頃、私は彼女にインタビューしているのだが、やはり声にコンプレックスがあると語っていた。その甘めな声が辛めな役をやることで良いバランスがとれていた。
2006年発売「松本まりか My Graduation」 [DVD]インディーズ・メーカー

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劇団☆新感線やジャニーズはじめ舞台での芝居も経験

 この年の9月、彼女は劇団☆新感線による、若手と出会う企画“NEXUS”という『Cat in the Red Boots』に重要な役で出ている。主演は生田斗真で、童話『長靴をはいた猫』をベースに、生田演じる主人公と、松本演じる人間に化けた猫が冒険の旅をする、笑いもふんだんなファンタジックな物語。  生田斗真が新感線参加2度めで頭角を現しはじめたときで、松本はその登り盛りの生田に食らいついていくポテンシャルを見せ、いいコンビネーションをつくりあげていた。猫(が化けた人間)役ということもあってしなやかでキュートでちょっと強気な雰囲気を醸(かも)していたが、ただかわいいだけでない、俳優としてのたくましさがあった。新感線の、いのうえひでのり演出はただかわいいだけでは務まらない。そのいのうえの要求にきちっと応えられる力が備わっていると感じたものだ。  だからこそ、エンターテインメントを作ることに徹底的にこだわる堂本光一の『Endless SHOCK』(07年)にも抜擢されたのであろう(引き続き生田斗真と共演になる)。その後は、映像の仕事と平行して、モダンスイマーズ、財団・江本純子、城山羊の会、ナイロン100℃、ブス会*など中、小劇場の公演に出演。この作品のチョイスはなかなか通である。本人の好みなのか事務所の方針かはわからないが、これらクセのある劇団で芝居をしてきたことも確実に身になっていることだろう。
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弱さをチラ見せする松本まりかこそが最後に微笑む
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