そして今回、半沢の永遠のライバル・金融庁の黒崎検査官(片岡愛之助)が、半沢に希望を託してまさかの退場。半沢同様に、箕部幹事長の周辺をかぎまわっていた黒崎でしたが、そのことが理由で異動させられてしまったのです。この知らせを受けた半沢は、黒崎のもとへと駆けつけます。
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駆けつけた半沢に、黒崎は箕部幹事長を追うヒントを与え、「
あなたしかいないのよ。あなたのことなんて大っキライ! だから、最後まで私が大キライなあなたでいてちょうだい」と言い残すのでした。去りゆく黒崎に、半沢は深く一礼。この、一切無駄のない半沢と黒崎のやりとりに、筆者は思わず涙してしまいました。
「私の大嫌いなあなたでいて」という黒崎らしいセリフに対し、言葉なく、黒崎に頭を下げる半沢の姿が胸を打ちます。一瞬のやりとりですが、二人の関係性とそれぞれの思いが見事に込められていたように思います。
気に食わないことがあると、男性部下の股間をつかむという強烈すぎるキャラクターの黒崎ですが、黒崎の異動を受けて、残される部下たちはみな涙を浮かべていました。職場で黒崎が信頼されていたことがわかり、それに対し「
なんて顔してんのよぉ。お世話になったわね」と、明るく言い残すだけの黒崎もまたかっこよすぎます。
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大和田も黒崎も強烈なキャラクターでありつつも、彼らの目的は登場当初から一切ブレることがなく、どんな手を使ってでも目的を成し遂げようとする姿勢は一貫しています。
敵役ではあるものの、それぞれが確固たる正義とポリシーを持っており、それにより「敵」「味方」という対立軸を超え、敵役に魅力と深みを出しています。
切れ者と評判の黒崎も敗れ去り、あの大和田さえも震えながら頭を下げていた箕部幹事長のラスボス感が、非常に高まった第8話。このラスボスに、半沢がどう立ち向かうのか。クライマックスにさらに期待が高まります。
<文/瀧戸詠未>