決定打になったのは、珍しく土曜にデートの誘いがあった時のこと。彼が服屋で試着したいと言うので、悠子さんは彼のバッグを持ってあげたそう。しかし、そのバッグがとにかく重い……。いったい彼は何を持ち運んでいるのかと気になって中をチラっと見たところ。

「なんか……巨大な仏像が入ってました(笑)。私、それで一気に何かがキレちゃったんですよね。いや、ほんとに信仰は自由だと思いますし、彼の真剣に向き合っている姿に尊敬すべきところがあったのは間違いなかったんです。
でも、この人にとっては、この仏像が私より大事なんだろうなぁと思ったらどうしても……。生涯を共にするという選択は難しかったです」
悠子さんはほどなく彼に別れを告げ、数ヶ月後に契約が終わり会社を去りました。
そして次に派遣された会社で出会った男性と先日入籍を果たしたとのこと。当時の彼のようなイケメンでも高スペックでもないけれど、一番大事にされている実感があって幸せなのだそうです。
「後から聞いた話では、社内でも彼の信仰については有名だったみたいですね。あれだけのスペックなのにフリーで社内の誰からもアプローチされていなかった時点で、何かあることを予測すべきだったと今となっては思います(笑)」
―
恋愛・結婚“私の失敗”―
<文/もちづき千代子 イラスト/ただりえこ>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama