「ある朝、目が覚めると身体が重い。会社に行こうとすると、ウソみたいに自分の身体が動かなくなってしまったんです。
ひょっとしたら何かヤバい病気にかかったのかもしれないと思って、病院で精密検査を受けましたが異常は見当たりませんでした。それでも私が身体の不調を訴えると精神科の受診を勧められて、診察してもらったら、適応障害だと言われたんです」
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適応障害はうつ病と混同されがちですが、彼女が抱えるストレスの原因となっていたのは仕事。体調不良を感じていたのは仕事中や出社前が圧倒的に多く、プライベートではそこまでの体調の悪さを感じていなかったそうです。
「普通の仕事と違って拘束時間が長くて、週末も休日返上でロケに行くことが当たり前、休みは週1日あればいいほうでした。とりあえず、3か月休職することになったのですが、あの激務にこれ以上耐えられる自信もなくて、診察してくれた先生とも相談したうえで仕事を辞めることにしました」
ところが、退職すればすぐに体調も元に戻ると思いきや、再び仕事ができるようになるまでには半年ほどかかってしまいます。
「その間はバイトなども一切せずに、自宅で療養していました。実は、就職後に会社から近い場所にアパートを借りていたのですが、仕事があまりに忙しかったこと、給料は残業手当込みで手取り月25万円ほどもらっていたこともあって、毎月半分近くを貯金に回していました。
ボーナスもほとんど手を付けてなくて、辞めた時点で貯金は250万円ほどありました。だから、半年間働かなくても問題なく生活することができたんです」
とはいえ、以前のようにガツガツ働けば適応障害が悪化すると思った彼女は、身体的にも精神的にもなるべく負担の少なそうな仕事を選んで様子を見ることに。そこで、週3日程度のアルバイトをしながら、体調次第で仕事の時間を増やしていこうと考えたそうです。
「何度か仕事を変えて、ようやく落ち着いたのが今の清掃員の仕事でした。私自身、掃除が好きだったこともありますが、基本的に自分1人で黙々と作業をしますし、そういうのが自分に向いていたらしくストレスもあまり感じません。
ただし、今の自分には週3日の8時間労働が限界。シフトの関係で週5日出勤したこともありましたがやっぱり辛くて、今のペースでしばらく様子を見ている状況です」
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同じ職場には非正規雇用から正社員になった人も多く、史菜さんが望めばそれも可能とか。ですが、フルタイム勤務が難しい以上、現時点ではそこまで考えられないといいます。
「正社員だとバイトよりも責任感がありますし、今日身体の調子が悪いからといって簡単に休むことはできません。私の場合、そこで無理をしてしまうのはわかっているので……。番組制作会社を辞める前後に比べれば体調ははるかに安定していますが、また体調を壊してしまうのが怖いんです」
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●みち子さんの1か月の収支(※年金、税金などを引いた手取り)
史菜さんの1か月の収支
収入
8万5000円(清掃会社のバイト代)
支出
4万6000円(家賃)
2万5000円(食費)
1万5000円(光熱通信費)
5000円(病院の診察料・薬代)
1万5000円(雑費)
収支
-2万1000円
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