実家に頼ったらなぜいけないのか……彼の真意がわからない
それ以降、カナコさんは夫の浮気疑惑の証拠を集めている。夫の携帯でのメッセージのやりとりなどは簡単に見つかった。今は探偵事務所に証拠写真を撮ってもらおうかどうしようか悩んでいるという。
「写真も含めて証拠写真をつきつけて、慰謝料と養育費をもらって離婚という道に進むべきか、あるいはもうちょっと子どもが大きくなるまで泳がせておくか。どちらがいいか判断がつかなくて。夫に未練がないわけでもないんですが、修復する体力も気力もないんですよ」
今も夫がいないときは母に来てもらう生活が続いている。母も「あんたたち大丈夫なの?」と心配はしているが、詳細は話せずにいる。
夫が家事育児に時間をとれない家庭はたくさんあるだろう。そんなとき、実家に頼る妻がいけないとは思えない。その上で、夫と実家、夫と子どもたちとの接点をどうコントロールするかが重要なのかもしれないが、なかなかそこまでの時間的精神的余裕がないのも事実。むしろ夫のほうから歩み寄ったほうがいいのだが、これは夫の性格にもよるだろう。
結婚は、延々続く日常生活なのだが、その中でどれだけ細かく、自分の意図や意志を伝え合うことができるか、相手の意図をキャッチできるかが重要だ。
最初から全面的に実家に頼ったほうがラクではあるが、そこはまず夫と話し合ったほうが軋轢(あつれき)を生まずにすむ。お互いへの敬意と思いやりがそれを可能にするのではないだろうか。
―シリーズ「
結婚の失敗学~結婚観・家族観すり合わせの失敗」―
<文/亀山早苗>
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