知り合って1年が経つ頃、里美さんは彼から「うちに来ない?」と誘われるようになりました。「奥さんにバレるよ」と言うと、彼は「22時になれば、あいつは2階に行くから大丈夫」と言われたそう。
「行くべきじゃないと分かっていましたが、ちょうど彼からの誘いが減ってきた頃だったので自分の気持ちが制御できませんでした」
こうして、2人は彼の自宅でこっそりと会うように。言われた通り、22時を過ぎた頃に家へ向かい、彼が開けておいてくれた窓から家に入るのが里美さんにとって当たり前になっていきました。妻からすれば、あまりにもナメくさった所業です。

「2~3回、奥さんが1階に降りてきて、ドキっとしたことがあります。そんな時は彼が用意していた毛布の中に隠れたり、バスルームに隠れたりしました。泥棒みたいですよね」
そんな思いをして会いにいくものの、次第に彼からは冷たい態度を取られるように。今の自分は性欲処理機で金づるだと、里美さんは感じています。
「来いという連絡を受け、家に向かうときは虚しい気持ちになるし、行く途中に必ずタバコを数箱と飲み物を買ってきてと言われるのも本当は嫌です」
「私は彼にコンビニのお茶1本、買ってもらったこともない」。そう憤りますが、里美さんはまだ彼への気持ちを断ち切れず、家に行く日々を続けています。
「多分、奥さんはうすうす気づいてると思う。普通に考えて音も漏れますしね。彼から捨ててもらえるので、最近では早くバレてしまえばいいとさえ思っています」
慰謝料の請求に応じられるようにお金を貯めつつ、彼と会う日々を送る里美さん。奥さんを傷つけ、自分にも制裁が下る可能性があることをわかっていて、なぜそこまで関係を続けようとするのでしょう……。何か、深い心の闇を抱えているのでしょうか。
恋は盲目とは言いますが、里美さんが早く目を覚ましてくれることを願います。
<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291