“手作りの義手”で猫らしい生活を。病気で右手の先端を失った豆蔵
【今日のにゃんこタイム~○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.35】
死にそうだったり、ボロボロの猫、ひとりで生きていく力のない子猫などに「一緒におうちに帰ろうね、もう大丈夫だよ」と声をかけ、保護しているスバルさん(@q8Fhfg67xr9sEal)宅には、さまざまな事情によって迎え入れた猫がたくさん。
その中のひとり、豆蔵くんは幼い頃に右手の先端を失ってしまいましたが、懸命な治療を乗り越えたり、スバルさんお手製の義手に頼ったりしながら、立派な成猫になりました。
出会いのきっかけは、知人がへその緒がついた子猫を保護したこと。スバルさん宅に来てからも子猫はずっと下痢をしており、ある日突然、下血。血液検査をしてもらうと、計測機器の針が振り切れるほど血液中の尿素窒素の値が高いことが判明。獣医師からは内臓のどこかで出血が起きているか、消化器官に先天性の疾患があるかもしれないと言われました。
「幼すぎて投与できる薬がほとんどなかったので、ミルクに整腸剤を入れていましたが、味が嫌なのか飲んでくれず。下痢は治らず、40度を超える熱も出てしまって」
病院では助けられないかもしれないと言われましたが、一縷(いちる)の望みを賭け、入院させ、点滴治療をすることに。すると、一命を取り留めることができ、入院2日目には初めて固形のうんちが出ました。
しかし、血管から点滴の液が漏れ出たため、治療を中断。点滴をしていた右手の先がむくみ出し、指先から汁が出て、手は赤黒く変色していきました。
「子猫は血管が細いので、先生は肩に近い部分に針を刺してくださっていたのですが、後遺症が出てしまいました。ミイラ化した右手の先端は自然に落ちて、傷が塞がるのを待つしかないとのことで……」
歯が生え始めた豆蔵くんは、次第に右手の先を噛むように。スバルさんは包帯を巻いて保護していましたが、その姿を可哀想に思い、胸が苦しくなりました。しかし、獣医師が明るい色の動物用包帯を巻いてくれ、見た目の痛々しさが軽減されたことを機に、心境に変化が。豆蔵くんの行動や仕草を純粋に「かわいい」と感じられるようになったのです。
右手はミイラ化した部分と正常な皮膚の境目が少しずつ裂けていったためスバルさんは敗血症にかからないよう、毎日消毒。
「それが痛くて怖いようで悲痛な声を出して泣くので、父と協力して行いました。恐怖から、毎回、父の手の中でうんちをしていて本当にかわいそうでした」
そんなある日、いつものように消毒をしようと思い、包帯を外すと、ミイラ化していた部分が取れ、前腕部がむき出しに。完治には1か月ほどかかるといわれましたが、もし噛み壊したり、壊死したりした場合は腕を切断しないといけないとも告げられました。